M.マルケスは「戻ろうとしている」のか。転倒した5コーナーでの勝負/MotoGP第2戦ポルトガルGPスプリント

2024年3月24日(日)6時52分 AUTOSPORT web

 マルク・マルケス(グレシーニ・レーシングMotoGP)は、2番手のホルヘ・マルティン(プリマ・プラマック・レーシング)を追いかけていた。残り2周、マルケスがマルティンの後ろにぴったりとつける。最終ラップ、マルケスは4コーナーを立ち上がったあとのストレートから下っていく5コーナーで、マルティンのイン側に鋭く突っ込んだ。マルティンが一瞬、マシンを起こす。マルケスが先行してコーナーを立ち上がった。


 マルケスはスプリントレースを2位で終え、マルケスはドゥカティで初のスプリントにおけるトップ3を獲得した。


 マルケスのポルトガルGPは、初日から期待感を抱かせるものだった。確かに、金曜日のプラクティス終盤ではクラッシュを喫し、予選Q2でも15コーナーでリヤから滑って転倒しており、順調なばかりの週末とは言い難いかもしれない。なお、Q2のクラッシュは、ライドハイトデバイスを作動させるタイミングが早すぎたことによるもので、マルケス自身のミスだったという。転倒後、マルケスはすぐさまピットに戻り、8番グリッドを獲得した。


 とはいっても、全体的に見れば、ドゥカティへの適応を進めるマルケスのパフォーマンスが上がってきていることは明白だった。マルケス自身もそう感じているだろうことは、スプリントレース後の囲み取材のコメントからも窺える。


 マルケスは「もちろん、すごくうれしいレースだったよ。2位を獲得できたということは、僕たちのプロセスがまた進んだということだからね」と喜びを表しつつ、同時にこうも語っていたのである。


「けれど、全体を確認すると──僕はいつも全部を分析してみるんだけど、予選で大きなミスをしていた。1列目や2列目なら楽だったんだけど、3列目からのスタートというのはかなり困ったことになる。ただ、今日、僕たちは速かったし、カタールよりもスピードがあった。とても大事なことだ。だから、オーバーテイクもできたんだ」


 マルケスは予選で1列目を考えていたということだ。もちろん、全てのライダーはトップを目指すものだが、自分の状況を現実的に考えるマルケスだけに、ポルトガルGPの己のパフォーマンスが1列目を狙えるものだったとリアルに考えていた、ということになるだろう。


 そして、冒頭で触れたスプリントレースの最終ラップのオーバーテイクである。一つのオーバーテイクに大きな意味を持たせることは避けるべきかもしれない。だが、そこには意味を持たせたくなる要素が含まれていた。


 最終ラップ、マルケスは5コーナーに入る前に3番手を走っていて、前を走るマルティンのタイヤがすでに終わっていると考えていた。とはいえ、マルケスは5コーナーで、初日プラクティスで転倒し、スプリントレースの5周目にもミスしてはらみ、ポジションを落としている。そして、レースで2位を決めたオーバーテイクも、5コーナーだったのだ。


 レース後のMotoGP.comのインタビューでは「ラッキーだったのは昨日クラッシュしていたこと。そうじゃなかったら、クラッシュしていたかもね」などと笑っていたが、それは転倒を前進につなげてきた、マルク・マルケスの姿のように見えた。そして、3位に甘んじることをよしとしない勝利への渇望も。


 今のマルケスに対する表現としては、表彰台争いに「戻ってきた」というよりも、すでにタイトル争いに「戻ろうとしている」という方がふさわしいかもしれない。それが12周のスプリントという短いレースであったとしても、象徴的なオーバーテイクであり、2位だった。

カタールGPとは違い、ポルトガルGPはオフシーズンでテストしていないサーキット。木曜日には「今週末のアプローチはカタールと同じ」と語っていた


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