【WBC】村上復調のきっかけ「運を持っていた」宮本慎也氏が語る注目の場面とは

2023年3月25日(土)6時0分 ココカラネクスト

(C)Getty Images

 3大会ぶりの優勝で日本中に多くの感動を巻き起こし、幕を閉じた第5回WBC。

 1次ラウンドから始まり、決勝戦まで、様々なドラマが巻き起こった今大会。

 中でも、感動的な逆転劇を生んだメキシコとの準決勝での村上宗隆の逆転サヨナラ打は、間違いなく今大会の名場面の一つとなっただろう。

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 昨シーズン、史上最年少で三冠王を獲得し、球界を代表するバッターに名を連ねた村上。その実力も相まって、大会前の壮行試合から4番に座るなど、侍ジャパンの主砲としても期待されていた。

 だが、壮行試合、強化試合で期待された結果を残すことができず不振に陥り、本戦に入ってからもそのトンネルからなかなか抜け出せずにいた。

 そしてイタリアとの準々決勝ではついに4番の座を吉田正尚に譲り、5番として再スタートを切る形となった。

 決勝進出を懸けたメキシコとの準決勝。前の試合同様5番として出場した村上。

 日本は4回、メキシコに3点先制されたのち、チャンスを作りながらもあと1本が出ずに苦しい展開が続いていた。

 そんな苦しい状況の中で、村上自身も3打席連続三振を喫するなど、未だ快音は聞かれずにいた。

 令和の三冠王は、爪痕を残さずして終わってしまうのか、そんな雰囲気すらただよっていた。

 だが、野球の神様は若き主砲を見捨てなかった。

 1点ビハインドで迎えた最終回。先頭の大谷翔平が気迫の2塁打で出塁すると、続く吉田も四球を選びノーアウト1,2塁に。

 ここで代走として一塁走者には足のスペシャリト、周東佑京も送られた。逆転のランナーとして周東が帰ってきたら日本の勝利、後がない状況の中で、村上に打席が回ってきた。

 カウント1-1からの3球目、ストレートを振り抜いた打球はセンターの頭を越えフェンス直撃の2塁打をマーク、大谷、周東と2人のランナーが生還し、劇的なサヨナラタイムリーとなった。

「村上は運を持っている」

 そう語ったのは、現在村上が所属するヤクルトスワローズのOB・宮本慎也氏だ。

 野球系YouTubeチャンネル「野球いっかん!」にて激戦を振り返った同氏は、試合のある場面で、村上が「運を持っている」と感じたという。

「吉田が3ランを打ちましたが、あの時、もし彼がヒットで繋いで村上に回ってきたら、代打を出されていたと思うんですよ。ベンチでは山川がヘルメットをかぶり、バットを持って用意をしていたので。岡本に代打はないと思ったので、出すなら村上かなと。
でも結果的に吉田がホームランを打ったので、村上にそのまま打席が回ってきたと思います」

 3点を追う7回裏の攻防。2アウト1,2塁の場面で4番の吉田は値千金の3ランをマーク。3−3の同点となったことで次打者の村上はそのまま打席に送られ、三邪飛に倒れた。

 首脳陣がどのように起用を考えていたのか、その真相はわからないが、結果的に最後まで村上が出場を続け、劇的なサヨナラ勝ちに導いたのは事実だ。

 あの準決勝での一打をきっかけに、村上自身は決勝戦では自身大会1号となるホームランを放ち、前日の勢いそのままにチームはアメリカを破り見事世界一へ輝いた。

 もし準決勝での一打がなかったら、帰国後のシーズンにも大きく調子が影響していたかもしれないと宮本氏。

 それゆえ、あの試合後は、勝利への嬉しさより、村上が打ってほっとしたと本音を漏らした。

 既に帰国の途につき、侍戦士たちはシーズン開幕へ向け各々のチームへと戻っている。

 沢山の経験をし、結果的にチームの世界一へ大きく貢献する形となった村上。

 この経験、そして勢いそのままに、今シーズンもチームのリーグ3連覇へ向け大いに暴れて欲しい。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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