危惧される「WBC燃え尽き症候群」元侍戦士からの金言とは【侍ジャパン】
2023年3月27日(月)6時0分 ココカラネクスト
(C)Getty Images
3大会ぶり14年ぶりの世界一奪還となったWBCフィーバーが続いている。
2週間の激闘が終わり、侍戦士たちがそれぞれの場所へ戻った後にも、多くの報道を通じて「勝負の裏側」を特集するなど、侍人気は続いている。
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そんな中で日本のプロ野球も30日、31日に開幕する。同時期に米メジャーも開幕、WBCの感動そのままに熱いシーズンへの期待もファンからは高まっているが、球界OBからは危惧されている点もある。
それは過去にもあった「WBC燃え尽き症候群」だ。大会に入れ込んだがあまり、なかなか切り替えがうまくいかず、影響が出たことは過去にもあったという。
2009年の第2回大会。当時、精神的な支柱として今大会のダルビッシュ同様にチームを引っ張ったのが、当時35歳だったマリナーズのイチローだった。大会期間中は不振に悩まされながらも、侍ジャパンの原監督は信念の起用を続けた。決勝の韓国戦、延長10回裏に、韓国抑えのイム・チャンヨンから決勝の2点タイムリーを放ったことは今も日本野球史に残る金字塔の一つだ。この鮮烈なシーンを記憶している野球少年たちが今回の侍ジャパンの主力メンバーとなっている。
そのイチローは大会終了後、オープン戦欠場が続いた。複数の医師から緊急精密検査を受けた結果、球団から「胃の潰瘍性出血」と発表され、メジャー初の故障者リスト(DL)入りが決定したのだ。当時、原因は疲労かストレスとされ、激闘の「代償」にも話題が集まった。結果として、シーズンでは持ち直したが、周囲もヒヤリとさせられる出来事となった。
球界OBで巨人、メジャーのレッドソックスなどで活躍した上原浩治氏は22日、自身のYouTubeチャンネルを更新。その中で世界一に輝いた侍ジャパンのメンバーをねぎらうと共に、今後の「注意点」について言及した。
動画内では世界一に輝いた大谷がトラウトを三振に抑えたシーンを取り上げつつ、準決勝、決勝も1点差の僅差で勝ちきったことに「強いチームだと思った」と称賛。続けて今大会を振り返って勝因に結びついた要因に関して「パワー野球、もうスモールベースボールじゃない。アメリカに負けていない」「特に投手陣は世界一」とメジャーと互角に戦っているとたたえた。
その上で今後に控えるシーズンの戦い方については「燃え尽き症候群じゃないけどね、これからが大事なんでね。どう気持ちを切り替えられるか、どう身体を切り替えられるか。そこがポイントになってくると思う」と語った上原氏。この点は多くの識者も懸念している点ではあるが、同様のポイントを上原氏も指摘した。
自身も2006年の第1回大会では日本代表として戦い、優勝に輝いた。特にアメリカ・サンディエゴで迎えた準決勝の韓国戦では、同大会で連敗していた宿敵相手に、先発投手として7回を投げ3安打8奪三振の快投を見せた。上原氏は「あの1年間で一番いいピッチングしたのは韓国戦だった」とした上で、「僕の場合は(その後の切り替えに)失敗しました」と告白した。
キャリアを積んだ名選手ですら、その後の調整には苦労したと明かしたのだ。
動画内では「こういう経験をした人たちには、もっともっと上を目指してもらいたいんで、シーズンをケガなく過ごしてほしいな」と「親心」を語った上原氏。チームに戻った侍戦士の多くは世界のトップレベルの選手と接したことで「もっとやらないといけないと思った」とさらなる技術向上を誓っている。ぜひとも怪我することなく、シーズンも白熱した戦いを見せてもらいたいものだ。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]