【中嶋常幸の快説オーガスタ】優勝争いはマキロイが6:4で有利か 松山は手首の状態が心配だ
2025年4月13日(日)13時19分 スポーツニッポン
松山の乱調の原因は、初日から気がかりだったパットだった。1.2メートルを外した4番の3パットでグラッときて、6番の3パットでまたグラッときて、7番で今度はショットが乱れ第3打をバンカーに入れてボギー。それまでずっと耐えていたものが、そこで崩壊した感じだった。
今週はパットがいまひとつ。切れのあるショットで支えていたが、この日はそれができなかった。
長くゴルフをやっていれば、やることなすこと全部うまくいかない日というのは誰だってある。特に思い入れの強いビッグトーナメントほど、そうしたことが起こりやすい。
でも、だからとって松山の評価がそれで変わるわけではない。これだけの実績を残している選手だし、今季も開幕戦で優勝している。その価値がこの日の79で消えるわけではない。
心配なのは、手首の状態だ。11番で第2打を打った後に痛がる様子を見せた。左手首には古傷を抱えている。13番で気にするようなところもあったが、それ以降はそういうしぐさをしていない。大丈夫だとは思うが、手首痛が再発しないことを願うばかりだ。
優勝争いは興味深い展開になった。最終18番でデシャンボーがバーディーを決め、キャリアグランドスラムを目指す首位のマキロイと2打差になった。
デシャンボーにとっては最終日に向け勢いをつける上がり方。ただ、マキロイにとっても差が詰まったことは良かったと思う。
オーガスタで2打差はあってないようなもの。心理的に0と同じ。リードがあると96年のノーマンのように、後続との差ばかりを気にして気持ちが後ろ向きになることもある。接戦なら前を向いて、自分が伸ばすことに意識を向けられる。
マキロイにはもう一つ利点がある。11年は2位との4打差を守りきれずに逆転負けしたが、今回は家族がいる。子供ができたことで、帰ってから娘と過ごす時間を持てる。ゴルフのことを一瞬忘れてリフレッシュできるのは大きい。それが試合での集中力を高めるための充電になる。
私もそうだったかと聞かれると、もう子供も40歳を越え、随分以前のことで忘れてしまったが(笑い)。
一方のデシャンボーはゾーンに入った時のプレーは凄いが、気になる点もある。15、17番の第2打、そして18番のバンカーからの第2打が左に飛んでいた。誰よりも集中力を発揮するタイプだが、ここぞという時に曲がる可能性がある。
最終日の前半まではまだ良いと思うが、バックナインに入った時にそれがどう出るか。
私は6対4の割合でマキロイが有利かなと見ている。
(プロゴルファー)