東京六大学野球が先駆けた「ビデオ検証」 東都リーグの監督たちは「導入したい」「カメラの問題が...」

2025年4月16日(水)22時43分 スポーツニッポン

 100周年の節目を迎えた東京六大学野球連盟は春季リーグ戦から映像で判定を検証する「ビデオ検証」が導入された。14日に行われた東大—早大の2回戦では東大側から2度「ビデオ検証」が要請され、成功1度、失敗1度だった。

 「リクエスト」が一般的になったプロ野球、そして節目を迎えた東京六大学野球でリプレー映像による判定検証が導入されたことによって、学生野球にもテクノロジーを駆使した判定検証は広まっていくだろう。

 では、東京六大学野球と同じ神宮を本拠地としている東都大学野球リーグ1部の監督たちは「改革」をどう受け止めたのだろうか。

 投手育成に定評のある亜大・正村公弘監督は「やっぱり、明らかな間違いがあれば、しっかりとビデオで検証して正しい方向に行くことがより良いと思います」と語った。これは近年、プロアマ問わず審判界の「変えられる材料がそろえば、正しい方に判定を変える」という潮流に一致するものだ。東京六大学野球の「ビデオ検証」は選手、チームだけでなく、ミスジャッジを犯した審判員を救う趣旨も含まれている。

 リーグ4連覇中の青学大・安藤寧則監督は「アマチュア野球なので、それ(ミスジャッジ)を含めてというところもあります。連盟が導入するとなったら説明があるでしょうから、理由をしっかり理解した上で受け入れていきたい」とした。2部リーグから昇格した東洋大・井上大監督は「審判さんの立場もありますし、導入するには慎重な話し合いが必要。実際に1つの判定で選手の人生が変わるような場面(ホームランかファールか、など)があれば考えますね」と想定していた。

 意外にも他の3監督の意見は同じ懸念で一致した。DeNA・牧、阪神・森下らを育てた名指導者の中大・清水達也監督は「審判へのリスペクトもあるので簡単には言えませんが、ウチのリーグでどれくらいのカメラが用意できるのかというところは1つ考慮しないといけない。あとは(1〜4部の)入れ替えがあるから(映像に求めるクオリティは)絶対にシビアになってきますよね」と言及。社会人野球の指導経験もある日大・片岡昭吾監督も「映像を検証できる環境が整えば検討する余地があると思います」。まずは機器面の整備に課題があると同調した。

 大学日本代表でコーチを務めている国学院大・鳥山泰孝監督は「アマチュア野球において(東京六大学野球は)革新的な取り組みだと思います。可能であれば(ビデオ検証を)取り入れたい気持ちはありますが、カメラの台数、費用の問題がありますから難しい問題です」とした。

 東京六大学野球、東都大学野球ともに全試合のネット中継を実施しているが、カメラの台数には大きな差がある。限られたアングルしか備えていない東都大学リーグが現体制で検証を行ったとしても、「降格、昇格」を懸けた一戦を担うだけの水準にないことは明白で、指揮官たちもそれを理解している。

 ビデオ検証は判定の全てを解決する「特効薬」ではなく、あくまで人間の審判員をサポートする1つの手段。また、機器導入には新たなコストも発生する。まずは、学生野球の未来のために先駆けとなった東京六大学野球が残す足跡に注視したい。(元NPB審判員、アマチュア野球担当キャップ・柳内 遼平)

スポーツニッポン

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