新型9X8のデビューから一年。今季のWECイモラに「大きく異なる」アプローチで挑むプジョー
2025年4月18日(金)19時29分 AUTOSPORT web

プジョーのテクニカルディレクターを務めるオリビエ・ジャンソニーによると、今週末の2025年WEC世界耐久選手権第2戦『イモラ6時間レース』へのプジョーのアプローチは、昨年同サーキットで2024年型『9X8』をデビューさせたときとは「大きく異なる」ものだという。
フランスの自動車メーカーであるプジョーは、リヤウイングの追加やタイヤサイズの変更など、新たな空力コンセプトを採用した2024年仕様9X8がデビューしたイモラ・サーキットでのレースにふたたび臨む。
ここまでの12カ月間にわたるレースと追加テストを経てイモラに戻ってきたジャンソニーは、LMH(ル・マン・ハイパーカー)規定に基づくプロトタイプカーの性能を、より深く引き出せるようになったと語る。
「今年のレースアプローチは昨年とは大きく異なる。それは間違いないだろうね」と彼は語った。
「昨年は新しいクルマ、新しいレース、新しいコース、すべてが初めて尽くしだった。今年は当然ながらクルマとサーキットのことを昨年に比べてよく理解しているし、経験も豊富になっている。セットアップは何をするにしても、昨年と常に比較することができる」
マシンの進化に満足しているかと聞かれジャンソニーは、シーズン開幕戦であるカタール1812kmレースでパフォーマンス関連の問題が発生したことを明かした。
「興味深いね」と彼は語った。
「古いマシンのパフォーマンスは明らかに飽和状態に達していた。新しいマシンはタイヤサイズを他のクルマと揃えたことで、準備がしやすくなったんだ」
「ただ、カタールでは我々の望んだようなパフォーマンスは得られなかった。いくつかの場面ではうまく立ち回ることができたが、性能面では期待外れだった」
「また、カタールではタイヤマネジメントとパフォーマンスでこれまで経験したことのない問題も見つかった。でも、イモラでは状況が異なるだろうね」
プジョーを含む複数のWECマニュファクチャラーは、3月にイモラで行われた合同テストに参加していたが、悪天候の影響を大きく受けた。
「冬のテストでいくつかの課題は見つかったが、イモラでは適切なテストをすることができず、ドライコンディションで走れたのは20周にも満たなかったので、具体的な成果を得ることはできなかった」
「それでも、カタール以降かなり多くのテストを行い、マシンのパフォーマンスには興味深い向上が見られた。ただ、最適なテストができていないため、それらを今週末に活かせるかどうかは非常に難しい問題だ」
ジャンソニーは、プジョーがシーズン開幕以降にバルセロナ、ポール・リカール、スパ・フランコルシャンで一日単位のテストを実施していたことも明らかにした。
「他チームも同じだと思うが、今年はまだ数日ある。ル・マン前の数日間を、ル・マンへの準備に集中させるという戦略は誰もが同じだろう」
「シーズン後半は、テストの面ではもう少し落ち着くはずだが、我々はマシンの信頼性を検証するため、ル・マンに積極的に参戦するつもりだ。そのために数日間を費やしているし、ル・マンでパフォーマンス開発も行っている」
「多くのテストを重ねているが、ヨーロッパではこの時期の天候が難しく、イモラのテストのようにうまく走れないこともある」
「スパには悪天候を覚悟して(テストに)行ったが、思いのほか天気は良かった。ただ、そういったのは運次第な部分もあるけどね」