プロ転向初戦の橋本大輝 平行棒で新技成功の2位発進 5連覇へ「自分は巻き返す力を持っている」
2025年4月19日(土)4時30分 スポーツニッポン
◇体操全日本個人総合選手権第2日(2025年4月18日 群馬・高崎アリーナ)
男子予選が行われ、21年東京五輪王者でプロ転向初戦となった橋本大輝(23=日本生命・セントラルスポーツ)が6種目合計84・231点で2位につけた。史上5人目となる大会5連覇達成へ、0・633点の僅差を追う。パリ五輪3冠の岡慎之助(21=徳洲会)が合計84・864点で首位。10月の世界選手権代表選考を兼ねて実施され、上位30人が20日の決勝に進んだ。
新技が決まった。平行棒で「車輪ディアミドフ」を初披露。1回転する車輪と片手を離して空中でひねるなどのディアミドフの動きを掛け合わせたE難度の技。着地まで完璧に決めた橋本は両手をポンと叩き、充実の表情を浮かべた。
「評価もされたし点数も残ったので凄く良い演技ができたんじゃないかなと思う」
攻めの演技構成が利いた。今季からルール改正によって5種目(跳馬以外)で技の数が10から8に減った。1技の比重が大きくなり、小さなミスが命取りになるといわれる。難度を抑えて安定性を重視する選手も多い中、新技投入を決断。「一気に(演技の難しさを示す)Dスコアを上げられる」との狙い通り、14・600点で種目別1位に立った。
プロとしての初戦でもある。今月1日にセントラルスポーツを退社して所属契約に切り替え、日本生命とのダブル所属でのプロ転向を宣言した。決断を後押ししたのは、体操界初のプロとなった内村航平さんの存在。「体操界を盛り上げてくれた。次は自分も」。その内村さんが記録した10連覇に続く、大会5連覇に挑んでいる。
昨夏のパリ五輪は団体金メダルに輝いた一方、右手中指のケガもあって2連覇が懸かる個人総合で6位に終わった。28年ロス五輪に向けたリスタートの年となる25年の漢字に選んだのは「一」。常に世界一を意識し、練習を重ねてきた。首位の岡との差は0・633点。「自分は巻き返す力を持っていると思う。逆転優勝できるように頑張りたい」。まずは日本一の称号をつかみ、世界選手権への弾みをつける。 (中村 文香)
▽世界選手権への道 男子は最大6枠。全日本選手権の予選、決勝の平均得点を持ち点に争う5月のNHK杯で、上位2人を個人総合枠に決める。種目別枠は全日本とNHK杯の得点から各種目の最上位者を代表候補に選出。7月までの国際大会を対象に日本協会が世界ランキングを作成し、1位の得点との比較から最大4人に絞り込む。世界選手権は10月にインドネシアのジャカルタで開催される。
【パリ五輪3冠の岡が首位】
パリ五輪3冠の岡が首位に立った。床運動と平行棒で種目別2位、鉄棒で同3位と総合力の高さを示し、「目標は85点だったけど、それに近い点数を取れたので良かった」と話した。股関節の痛みで3月の種目別W杯の出場を辞退。今大会が復帰戦となったが、きっちり実力を発揮した。新たな試みとして、今年から五輪金メダリストには金色のゼッケンが用意された。「金メダルを意識させるようなゼッケンだと思うので優勝します」。橋本との五輪王者対決を制し、大会初優勝を飾る。