【中山GJ】「ずっと勝ちたかった」19年目の苦労人が障害G1初制覇で号泣 イメージ通りの騎乗で8馬身差圧勝
2025年4月20日(日)6時0分 スポーツ報知
8馬身差をつけて圧勝したエコロデュエル(中)(カメラ・荒牧 徹)
◆第27回中山グランドジャンプ・JG1(4月19日、中山競馬場・障害4260メートル、良)
第27回中山グランドジャンプは19日、中山競馬場で14年ぶりにCコースの障害芝4260メートルで行われ、5番人気のエコロデュエルが8馬身差をつけてJG1初制覇を決めた。19年目の草野太郎騎手(36)=美浦・フリー=、開業24年目の岩戸孝樹調教師(58)=美浦=は、ともにG1初制覇となった。
あふれる思いをこらえることができなかった。エコロデュエルと1着でゴール板を駆け抜けた草野は、首筋をなでながら号泣。「入線後は取り乱してしまいましたが、ずっと勝ちたかったG1を勝ててうれしい気持ちです」。キャリア19年目でようやく頂点に立った苦労人に、スタンドから惜しみない拍手と歓声が送られた。
イメージ通りだった。例年より10メートル長いCコースの4260メートルで、序盤は好位勢を見る形で運び、中盤から先頭に並びかける積極策。3コーナー過ぎから徐々に後続との差を広げて、8馬身差の圧勝Vを決めた。「後ろは見ないでスタミナをすべて出し切るようなレースをしようと思っていました」と胸を張った鞍上は、ちょうど1年前は落馬による頸椎(けいつい)の骨折などで入院中だった。「ベッドの上で悔しい思いをしたし、一昨年もけがで乗れなかったので『楽しめたらな』と思っていたのですが、そんな余裕はなかったです」と苦笑いで振り返った。
開業24年目の岩戸調教師、9年目の原村正紀オーナーにとっても、うれしいG1初勝利。前走4着後、この3人で濃密なミーティングを行ったという。岩戸師は「草野には『腕はあるんだから、あとは気持ちだけ』と伝えていた。今日は強気の競馬ができて良かった。気合勝ちです」と笑顔で明かした。春の大一番を制したことで、年末は当然、中山大障害・JG1(12月27日、中山)が目標。固い絆で結ばれた人馬で春秋制覇を狙う。(西山 智昭)
◆エコロデュエル 父キタサンブラック、母クラリネット(父ジャイアンツコーズウェイ)。美浦・岩戸孝樹厩舎所属の牡6歳。北海道日高町の下河辺牧場の生産。通算22戦5勝(うち障害12戦4勝)。総獲得賞金は2億2433万円(うち障害2億1329万円)。主な勝ち鞍は京都ジャンプS・JG3(23年)。馬主は原村正紀氏。