午前7時半起き、昼は2軍戦出場から「人生で一番最高な瞬間」ヤクルト・22歳ニューヒーローがプロ初安打のちサヨナラ打
2025年4月21日(月)6時0分 スポーツ報知
延長10回2死二、三塁、サヨナラ打を放ち祝福される伊藤(中、カメラ・清水 武)
◆JERA セ・リーグ ヤクルト3×—2巨人=延長10回=(20日・神宮)
最下位のヤクルトにニューヒーローが誕生した。2—2で迎えた延長10回2死二、三塁。2年目の伊藤琉偉(りゅうい)内野手(22)は「自分で決めよう」と強い気持ちで打席へ向かった。ただ、頭の中は冷静だった。「甘い球を積極的に」。巨人・戸田の高めに来た縦のスライダーを逃さず振り抜くと、打球は左翼フェンスに直撃し、プロ初のサヨナラ打となった。ベンチから突進してきた仲間たちから歓喜のウォーターシャワーを浴び、「人生で一番最高な瞬間でした」と白い歯を見せた。
6回に山田の代走で出場し、8回には右翼へプロ初安打をマーク。遊撃に入っていた延長10回の守備では泉口の中前に抜けそうなゴロをダイビングで捕球し、一塁で間一髪アウトに仕留める好守でピンチの芽を摘んだ。最後はチームの連敗を5で止め、今季の巨人戦初白星を呼び込む劇打。攻守で存在感を放った22歳に高津監督も「地味ですけど、すごくいい脚力もあるし、守備も肩も強いし、こうやってバッティングがついてくると使い方の幅も広がる」と高評価した。
この日は午前7時半に起床し、正午開始のイースタン・ロッテ戦(ロッテ浦和)にもフル出場した後に神宮へ。ハードな1日を終えた伊藤は「本当に内容の濃い、今までにない1日だった」と、心地良い疲労感に包まれた。独立リーグ時代にはプレーの傍ら居酒屋のアルバイトも経験した苦労人。華々しい世界で大きな第一歩を刻んだ。(長井 毅)
◆伊藤 琉偉(いとう・りゅうい)2002年9月11日、群馬・高崎市生まれ。22歳。東農大二から東農大に進学するも中退。BC新潟を経て、23年ドラフト5位でヤクルト入団。180センチ、78キロ。右投右打。年俸750万円(推定)。