「自分という投手を理解」全球種ハイレベルに使い分けた巨人の先発左腕
2025年4月23日(水)5時10分 スポーツ報知
4回1死、細川成也から三振を奪った井上温大(カメラ・今成 良輔)
◆JERA セ・リーグ 巨人8—1中日(22日・東京ドーム)
巨人は先発・井上温大投手(23)が中日を相手に8回3安打1失点で今季2勝目。最後の5者連続を含む毎回、自己最多14奪三振は球団左腕では6人目(7度目)の快投だった。
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すばらしい投球を見せた井上温大だが、持ち球のすべてを高いレベルで扱えていた。8回まで打者27人と対戦し、初球にボールから入ったケースはもちろんあったが、2ボールとなった打者は2人しかいない。ゾーンで勝負できていた証拠だ。真っすぐの強さに定評があるが、この日はスライダー、カットボール、ツーシーム、カーブ、フォークと多彩な球種を打者の左右問わずまんべんなく使え、どれもが勝負球にできる精度だった。中日打線からしたら攻略はかなり難しかっただろう。
今季の井上で言えば「自分という投手を理解できてきた」ということも大きい。1軍に出始めの頃は「すべてをきっちり投げきらなければ」と際どいコースを狙いすぎてボールが先行していた。相手が球種やコースを絞りやすいカウントでストライクを取りに行かなければならない状況になり、しっかりスイングされて打たれている印象が強かった。
だが、昨季8勝を挙げた経験を元に、しっかり腕を振って投げられれば、多少甘く入ってもファウルでカウントを取れるという自信が生まれたのだろう。打者に対して主導権を握った投球を続けられれば、安定してイニングを稼ぐことができるはずだ。(野球評論家・清水 隆行)