阪神・島本 セ在籍育成出身初のプロ15年目白星 「一年でも長く」自身を除く同期入団は全員引退
2025年4月24日(木)5時15分 スポーツニッポン
◇セ・リーグ 阪神3—2DeNA(2025年4月23日 横浜)
積み重ねた経験と、気持ちの強さでスコアボードにゼロを刻んだ。5番手で登板した阪神・島本がピンチを招きながらも零封。直後の大山の勝ち越しソロを呼び込む力投だった。
「みんなでつないで最後、大山が打ってくれて良かったですね」
2—2で迎えた9回、中軸と対峙(たいじ)する勝負どころで出番がやってきた。先頭・牧を直球で右飛。宮崎には死球で出塁を許したが、山本は中飛に打ち取った。2死から代走・林に二盗を決められ、サヨナラのピンチで最後は蝦名をフォークで空振り三振。敵地のため息を背にマウンドを降りた。
10年の育成ドラフト2位で入団し、今季がプロ15年目。育成ドラフト出身のセ・リーグの投手が15年目以降で白星を記録するのは初めてだ。左肘の手術も経験するなど、ハングリー精神を胸にプロで生き抜いてきた島本。今は、自身を除く同期入団の7人全員が現役を引退。同じ高卒で2位の一二三慎太さんとは今も年に一度は食事をともにする仲で、同じく育成3位の穴田真規さんとは家族ぐるみの付き合いもしている。かつての同僚と顔を合わせる度に「一年でも長くプロで投げたい」と決意は強くなっている。
「同じドラフトで今もプロでやっているのは自分だけなので。1軍で一試合でも多く投げていきたい気持ち」
昨年は不調だった左肩の状態はキャンプ中から良好で1月の静岡での自主トレのキャッチボールで「昨年とは全然違う」と手応えを深めていた。開幕は2軍で迎えても、気持ちは折れず「昇格するまで抑えていくだけなんで」と力強く宣言。ようやく巡ってきたチャンスで昇格後は3試合連続無失点と結果でアピールしている。
「ゼロを重ねていくだけですね」
力投で手にした今季初白星よりも、32歳は救援陣でつないだバトンリレーをかみしめた。(遠藤 礼)
○…島本(神)が今季初勝利。10年の育成ドラフト2位で阪神に入団して、今季がプロ15年目。育成ドラフト出身でプロ15年目以降に勝利は、ロッテ・西野の16年目(08年ロッテ育成5位→24年勝利)を筆頭に、ロッテ・国吉の15年目(09年横浜育成1位→24年勝利)、メッツ・千賀の15年目(10年ソフトバンク育成4位→25年勝利)に続く4人目。セ在籍投手では初めて。