相撲部屋のちゃんこのような“味染み”記事で力士の魅力を届けたい
2025年4月30日(水)16時0分 スポーツ報知
肉団子ちゃんこ鍋を味見する朝心誠
稽古取材後、親方の勧めで時折ちゃんこをいただくことがある。中村部屋の角煮や高砂部屋の肉団子など、それぞれの部屋で看板のちゃんこが違うことも面白い。どの部屋も栄養バランスを考えた家庭料理の味だ。
調理するちゃんこ番の力士は、稽古場とは違う表情で調理場に立ち、楽しそうに会話しながら包丁を握る。調理は豪快で、50人分は作れそうな大鍋に、スーパーでは見たことがない業務用の鶏肉6キロを投入し、マヨネーズを1本使うこともある。味噌はパック単位。これで濃すぎず薄すぎず、絶妙な味にまとまるからすごい。
7年前に料理教室に通い始めた私は、家族にちゃんこを堪能してもらおうと考えた。4人分のレシピを知りたく、高砂部屋のちゃんこ長・朝心誠(27)に聞くと「分からない。目分量っす!」と元気な声が返ってきた。ほかの力士に聞いても「4人前の作り方は、(つくったことがないから)逆に分からない」と苦笑いする。
力士の多くは、学生時代や入門後にちゃんこ作りを学ぶという。料理教室では分量が事細かに決められ、その通りに作れば味が安定する一方で、調理に時間がかかる。作り方が体に染みついている大男がテキパキと、一般人の何十人分の量をさばいていく姿を見るのも楽しい。
一人前の力士らしくなることを相撲用語で「ちゃんこの味が染みてきた」という。私も味の染みる記事で、相撲、力士の魅力も伝えたい。(相撲担当・山田 豊)
◆山田 豊(やまだ・ゆたか)2009年入社。全国展開するABCクッキングに18年入会。23年から大相撲担当。