「ここで取らないといけない」バレー男子・高橋藍が「日本一」の先に描く夢と覚悟
2025年5月1日(木)6時0分 スポーツ報知
練習前、小野寺と談笑しリラックスするサントリー・高橋藍(左、カメラ・岩田 大補)
バレーボール「大同生命SVリーグ」の初代王者を決める男子のチャンピオンシップ(CS)決勝は3日に東京・有明アリーナで行われる。愛知との決勝に向け、サントリーは30日、大阪・箕面市内で練習を公開。主軸の高橋藍(らん、23)が「日本一を取ることが、世界一につながる」と主要タイトル3冠への決意を明かした。昨年12月の全日本選手権に続き、SVリーグで2冠を達成し、5月のアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)制覇も貪欲に狙う。
藍はリラックスしていた。58歳の誕生日を迎えたオリビエ・キャット監督の祝福で始まった練習では笑顔が見られ、明るい雰囲気で行われた。「楽しみ」と心待ちにする決勝へ「勝つこと、強さを証明することが一番。目指すものは優勝。優勝がいい経験、自信につながる」と力を込めた。
野望をかなえる。咋夏、世界最高峰のイタリア1部リーグ・モンツァを離れ、「世界一を目指す」とサントリーに加入。1季目で全日本選手権を制し、リーグ初代王者に王手をかけた。「次にはアジア(ACL)もある。世界一のチームを掲げている以上、ここで日本一を取らないといけない。日本一を取ることが、世界一につながる」と5月のACLを含めた3冠獲得も視野に入れた。さらにACLで優勝すれば、12月の世界クラブ選手権の出場権が得られ、世界一への挑戦が続く。
対戦する愛知は、レギュラーシーズン(RS)首位通過の大阪Bに連勝し、勝ち上がってきた。エース・宮浦健人に、セッターの関田誠大、リベロの小川智大と日本代表選手が顔をそろえ、力も勢いもある。藍も「タレントぞろい。すごい選手が集まった」と警戒しながら「面白い試合になる。しっかり勝っていきたい」と闘志を燃やした。
2戦先勝方式の準決勝では、名古屋相手に初戦を落とし、後がない状況から連勝で決勝進出を決めた。「最後は自分たちを信じて冷静に戦えた。(準決勝が)自分たちを強くしてくれた」と手応えを得て迎える大一番。藍が夢に前進する。(森脇 瑠香)
◆アジアチャンピオンズリーグ(ACL) アジアのクラブ最強を決める大会で、12チームが参加。5月11〜13日に大阪・パナソニックアリーナで4組に分かれてグループステージ(GS)を実施。15日からは島津アリーナ京都に会場を移し、準々決勝から18日の決勝までを行う。日本は前身のVリーグで昨季優勝したサントリーと準優勝の大阪Bが参戦。上位2チームが12月の世界クラブ選手権(開催地未定)に進む。
◆準決勝3連戦「体が勝手にギア上げてくれた」藍に聞く
—RS44試合の疲労は。
「それを理解して日本に帰ってきている。緊張感を持って試合する経験が重要。パリ五輪が終わってから、1点が大事な状況はいっぱいあった。間違いなく44試合をやった選手、チームは強くなっている」
—準決勝3連戦は。
「自分は逆に楽しみで、体が勝手にギアを上げてくれた。感覚的にソワソワしていたけど、アドレナリンが出て、いつも以上のプレーが出せる感覚があった」
—CSにはRSにはない緊張感がある。
「寝る前や、昼休憩の間も自分のいいプレー、相手に止められるシーンも想像していた。準決勝に勝った自分たちも想像した。すごく楽しみにしながら、いい緊張感を持っていた」
セッター大宅生かす 〇…サントリーのセッター・大宅真樹(30)が攻撃をけん引する。準決勝では、得点ランク2位の218センチD・ムセルスキーを軸に、バックアタックに定評のある藍、左利きの技巧派・シリフカらを使い分け、勝利に貢献。決勝でも「セッターが大宅でよかったと言ってもらえるように頑張りたい」と最高のトスを上げ、勝利へ導く。