【阪神】虎の助っ人支える通訳はWBCブラジル代表!本大会は日本と対戦熱望「次は勝てたらうれしい」

2025年5月1日(木)5時0分 スポーツ報知

阪神・伊藤ヴィットル通訳(カメラ・直川響)

 猛虎に異色の“二刀流”がいる。日系ブラジル3世の阪神・伊藤ヴィットル通訳(30)が、3月の第6回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)予選(米アリゾナ州トゥーソン)にブラジル代表として出場し、来年3月の本戦に2度目の出場を決めた。普段はスペイン語と英語の通訳として育成の外国人を担当している。本大会でも代表入りし、日本との対戦を熱望した。

 あの通訳は何者だ—。3月、WBC予選を戦うブラジル代表の遊撃手がSNSで話題になった。華麗なフィールディングが光る日系3世の「ITO」。本業は阪神の通訳だ。レギュラーとして4試合に出場し、打率3割8分5厘。3大会ぶりの本戦出場に大きく貢献した。「ギリギリだったけど、何とかチームが勝てて良かった」と、控えめに快挙を喜んだ。

 2023年1月に社会人・日本生命で現役を引退し、24年4月に阪神の通訳として入団。入団後は担当選手とキャッチボールをする程度で、野球からは離れていた。昨年12月、ヤクルトの外野守備走塁兼作戦コーチで松元ユウイチ代表監督(44)のひと言が運命を変えた。電話越しに「もう一度できるか? お前の力が必要なんだ」と、熱く訴えかけられた。すぐに気持ちは固まった。「絶対に間に合わせます」。本番まで約3か月。通訳との掛け持ちが条件で、急ピッチで準備を進めた。

 オフシーズンは球団施設に通い詰め、マシンを相手に打ち込んだ。自宅近くの公園ではダッシュを繰り返した。「間に合うか、とても不安でした」。特に多忙だったのは、2月の春季キャンプ期間中。練習前の午前5時半からジムへ。昼食は5分で取り、マシン打撃。「球団がとても協力してくれて、ありがたかったです」。シートノックに参加し、フリー打撃に加えてもらったこともあった。

 ブラジル代表は、前回出場した13年の第3回大会では日本と同組。3—5と善戦したが、キューバと中国を含めて3戦全敗となった。伊藤通訳は第4回大会予選から代表入り。初の本大会出場へ「絶対に選ばれたいです」と目を輝かせる。今回は米国、メキシコ、イタリア、英国と同じプールB。上位2チームが進む準々決勝以上を狙う。「日本と対戦して、次は勝てたらうれしい」。対戦は早くても準決勝。現在も通訳業に注力しながらも、コンディション維持は欠かさない。大きな野心を胸に秘め、二刀流の挑戦は続く。(直川 響)

 ◆伊藤ヴィットル1995年2月16日、ブラジル生まれ。30歳。中学までブラジルで過ごし、16歳で来日。埼玉・本庄第一から共栄大を経て日本生命に入社。内野手として5年間プレーし、ドラフト候補にも挙がった。178センチ、80キロ。右投左打。

 ◆野球ブラジル代表 五輪出場はなし。WBCは13年に初出場し、1次ラウンド敗退。3月の予選では、ボー・タカハシ(西武)、金伏ウーゴ(元ヤクルト、巨人)、仲尾次(なかおし)オスカル(元広島)のNPB経験者に加え、ドラフト候補の最速151キロ左腕・沢山優介(ヤマハ)もメンバー入り。また、MLB通算555本塁打のマニー・ラミレスを父に持つルーカス・ラミレス(エンゼルス傘下)も出場した。

 ◆2013WBC1次ラウンド(3月2日・ヤフオクD)

日  本

001 100 030−5

100 110 000−3

ブラジル

(日)田中、杉内、〇摂津、能見、S牧田—相川、阿部

(ブ)フェルナンデス、ゴウベア、●仲尾次、コンドウ、ノリス—フランサ

【VTR】田中が初回に1点を先取されたが、3回に糸井の同点打、4回に坂本の犠飛で勝ち越し。杉内、摂津が1点ずつを失い、再びリードを許したが、8回に井端が同点打。なおも阿部の二ゴロと松田の適時打で2点を勝ち越した。

スポーツ報知

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