「いつクビでもおかしくない」1000日ぶり打点の巨人・増田陸 野球人生の終わり覚悟した家族との食事

2025年5月1日(木)5時10分 スポーツ報知

6回2死一、二塁、左翼線に先制の2点適時二塁打を放った増田陸(カメラ・中島 傑)

◆JERA セ・リーグ 巨人2—0広島(30日・東京ドーム)

 増田陸はバットを振り抜き、叫んだ。「よっしゃー」。両軍無得点の6回2死一、二塁。フルカウントから大瀬良の内角低め137キロカットボールを、両腕を畳んで左翼線へ運んだ。今季初スタメンで均衡を破る2点二塁打。22年8月4日の阪神戦(東京D)でソロを放って以来、1000日ぶりの打点になった。もがきながらつかんだ執念の一打。大歓声を浴び、「チャンスをもらったので結果を出してやろうと思っていた」とかみ締めた。

 1軍のスポットライトから長らく遠ざかってきた。22年に69試合で打率2割5分、5本塁打、16打点。未来の主軸候補と期待されたが、飛躍を目指した23年は打撃不振に陥り、1軍出場なし。2軍でも打率2割2分9厘、5本塁打と低迷した。「いろいろ考えてやっても全然あかんくて」。昨年も1軍出場4試合で無安打。苦しかった。きっかけはつかめなかった。

 野球人生の終わりすら覚悟した。「いつクビでもおかしくないな、と」。オフには実家で家族で食事をする機会があった。「家族にも心配されましたし、もうやるしかない」。やれることは何でもやった。トレーニングから見直し、胸郭のエクササイズに新たに取り組んだ。お酒も控えた。「体を休めることに気を使って」と、休日は整骨院や温泉などで整えた。危機感に突き動かされた。

 試行錯誤の中で、オフにようやく、打撃フォームで目指すべき方向性が見つかった。「センターから右を意識して、トップをしっかりつくって振るようにした」。詰まることを恐れない。球を引きつけて中堅方向への打撃を徹底するようにしたことが糸口になった。イースタンで打率3割3分3厘とアピールし、4月22日に今季初1軍昇格。代打で結果を残して今季初スタメンをつかむと「やってやろう」と奮い立ち決勝打を放った。抜てきした阿部監督は「素晴らしい一打。負けん気が強くて、根性も据わっているほう。練習もたくさんする選手だし、やってて良かったなと思えたと思う」とねぎらった。

 お立ち台では「最高です」と声を張った。ただ、一本では満足しない。「続けることが難しいので一日一日頑張りたい」と実感を込めた。苦しい時間を乗り越えてきた男の逆襲が始まった。(宮内 孝太)

村田真一 Point「阿部監督の勝負勘さえた」

 増田陸は気迫十分で、フルカウントからバットを短く持ち、大振りをせずに内角カットボールを捉えた。前日に代打で三振に倒れていたけど、スタメンに使った阿部監督の勝負勘がさえていたということ。今季の大瀬良は、試合前まで左打者の被打率が1割8分2厘で右打者が2割4分。右の方が打っているというデータを生かしたのかもしれんね。それでも期待に応えた陸が、見事ということよ。(スポーツ報知評論家・村田 真一)

スポーツ報知

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