中村俊輔氏 インテルの変幻トライアングルがバルサの「ハイライン戦術」破る 欧州CL準決勝第2戦展望
2025年5月3日(土)4時45分 スポーツニッポン
横浜FCの中村俊輔コーチ(46)がサッカーの魅力を語り尽くす「月刊中村俊輔」。5月号のテーマはバルセロナを分析した前回に続き今季の欧州CL。4強入りした他の3チーム、インテル・ミラノ、アーセナル、パリ・サンジェルマンについて語り、欧州頂点を目指す戦いを占った。(取材・構成 垣内 一之)
4月号ではバルセロナの「ハイライン戦術」とFWラフィーニャについて語った俊輔氏。次に注目クラブとして名前を挙げたのが、イタリアの名門インテル・ミラノだ。
「センターバックに運べる選手がいるから、可変するビルドアップの質が凄く高い。アンカーだけが動くのではなく、左右インサイドハーフ(IH)も最終ラインに入ったりする。その動きがかなり流動的で、相手はつかめない」
基本布陣は3—5—2で、戦術は堅守速攻。その中で鍵を握る選手として挙げたのが、アンカーのチャルハノール、IHのバレラ、ムヒタリャンの3人だ。3人が流動的に動き「ビルドアップに詰まったんじゃなくて、おびき寄せている感がある」と相手を自陣に引きつけ、そこから「(2トップの)チュラムとか、ラウタロ・マルティネスが位置を入れ替えたりして、そのままスピードアップした鋭いカウンターにつなげている」と分析する。
一見、単純そうな攻撃だが「相手が弱いとそれでビルドアップしてどんどん相手コートに入っていく。しかも相手の動きなどに対してパターン化された形がいくつもあるから、完成度はかなり高い」という。
シモーネ・インザギ監督は就任4季目。メンバーをほぼ固定しながら完成度を高め、ここまで奪ったタイトルは1度のリーグVを含め6つ。バルセロナとの準決勝第1戦では敵地で3—3と激闘を演じた。
準決勝の他カードはアーセナル—パリSG。冨安が所属するプレミアの名門については、緻密なセットプレーにかなり目を引かれたようだ。
「このタイミングになったらブロックを開始するとか、ブロックしたのを見て、0コンマ何秒ずつ動いている。(キッカーが)キック動作で(ピッチを)踏んだ瞬間、動き出す人とか、最初スペースを空けといて、ブロックに入る瞬間にドスンと当たって、動けなくさせた瞬間のファーサイドとか。細かい決まり事が多い」。こちらもインテル同様、チームの完成度は高いとみている。
一方のパリSGは、エムバペが昨季限りで退団したことで、チームは逆に好転しているという。「エムバペがいなくなったことで、点だった一人の役割が線になってグループになった。エムバペが守備しないところを、どうカバーするかという問題がなくなった。アンカーのポルトガル人(ビティーニャ)も利いている」
第1戦はパリSGが1—0勝利。最後に俊輔氏は「大会に合った戦い方をしているインテル!」と優勝を予想した。