高橋藍がベンチへ下げられた時に考えたこと サントリー0-2崖っぷちから大逆転勝利
2025年5月4日(日)6時0分 スポーツ報知
フルセットの末に逆転勝利を飾り、雄たけびを上げるサントリー・高橋藍(カメラ・相川 和寛)
◆バレーボール ▽大同生命SVリーグ男子 チャンピオンシップ決勝第1戦 サントリー3—2愛知(3日、東京・有明アリーナ)
2戦先勝方式のチャンピオンシップ(CS)決勝が行われ、男子第1戦は高橋藍(らん、23)を擁するレギュラーシーズン(RS)2位のサントリーが、同4位の愛知に0—2からの大逆転で先勝。初代王者に王手をかけた。第2セット(S)まで精彩を欠いた藍は、第3S途中でベンチに下げられたが、第5Sに奮起。開始から出番を得ると4本のスパイクを決めてチームを引っ張り、3時間25分の死闘を制した。第2戦(千葉・ららアリーナ東京ベイ)は5日に実施される。
最後に笑ったのはサントリーだった。3時間25分にも及ぶ死闘は、0—2の第3Sから3連続で取って決着をつけた。第5Sの最後は、愛知・宮浦健人(26)のスパイクを味方ブロックが止めて逆転勝ち。この日、12得点したエースの藍は仲間と抱き合い、「しんどい試合だったが、最後まで諦めずに戦い抜いたから、勝つことができた」と大きな1勝をかみしめた。疲労感は吹っ飛び、1万1487人の大歓声に応えた。
エースが苦境からはい上がった。最初の2セットは愛知の強烈サーブに苦しみ、終盤に4点差をつけられて連取された。藍もサーブレシーブではじかれ、焦りが出た。第3S中盤にはバックアタックを止められるなど攻守で精彩を欠き、ベンチに下げられた。「冷静さを欠いていた」と猛省。それでも、サントリーは選手層の厚さを見せて粘った。
1セットを奪い返し、続く第4S18—22。劣勢の場面で藍は再び出番を得た。「外から見て冷静になった。一度、マインドをリセットしてファイトしよう、自分のプレーをやろうと思った」。それまで封じられたバックアタックを決めるなど息を吹き返した。
勝負の第5Sは15—15でレフトから強打を決めて「ブラボー!」と叫んだ。攻めの姿勢を取り戻し、「自分のプレーを出せたのが大きい。自分を信じて、1点を取り切ることに集中した」と胸を張った。
藍は主軸としての責任感を常に意識してきた。前週のCS準決勝は第3戦までもつれ、「疲労でメンタル面もしんどかった」と振り返った。仲間の疲弊した表情を見て、経験豊富なポーランド代表のA・シリフカとともに「苦しい時の戦い方」について意見し合った。チームを団結させたエースの支えに、オリビエ・キャット監督(58)もこの日、「(藍が)コートに戻ってからは勝ちにつながる活躍をしてくれた」と喜んだ。
初代王者まであと1勝。「次につながるいい勝ち方ができた。もちろん、次で決めたい」と藍。苦しんだ先に悲願の日本一がある。(宮下 京香)