一石二鳥どころか三鳥も四鳥も、レジェンド名投手の名前がつけられた偉業「マダックス」とは
2023年5月5日(金)10時7分 ココカラネクスト

マダックスは通算35完封のうち13度を100球未満で達成した(C)Getty Images
DeNAの東克樹が今年のプロ野球一番乗りで快記録を達成した。4月30日の中日戦で、二塁さえ踏ませず無四球で4安打完封勝利。新人だった2018年以来5年ぶり2度目で、極めつけは97球という球数の少なさにあった。100球未満で完封した投手に与えられる「マダックス」の称号を手にした。
【関連記事】「バカげた記録を加えた」大谷翔平の”圧巻13K”に米老舗誌も脱帽!快挙も達成「5回以下13奪三振は1901年以降で4人目だ」
「マダックス」の由来はメジャーリーグの大投手にある。抜群の制球力で通算355勝の殿堂入りグレッグ・マダックスは、35完封のうち13度を100球未満で達成した。後にその名前を後世に語り継ぐかのように、100球未満の完封を「マダックス」と呼ぶようになった。
昨年は数多くのノーヒッターが誕生し話題となったが、実は多くの「マダックス」が達成された年でもあった。最初にマークしたのはDeNAの上茶谷大河。4月16日のヤクルト戦で5安打無四球、91球で完封勝利を飾った。
それに3日後に続いたのが、日本ハムの加藤貴之。4月19日の楽天戦で3安打1四球、90球で完封勝利した。2時間25分で試合を終わらせ、新庄剛志監督は「まさにカドックス。安心感バリバリありました」と絶賛した。
そこからは前記したノーヒッターが「マダックス」で続いた。ソフトバンク・東浜巨が5月11日の西武戦で自身初のノーヒットノーランを達成。2四球を与えただけで97球による27人斬りで、昨季3人目の「マダックス」となった。
その前年、2021年シーズンも3投手が「マダックス」を達成した。ヤクルト・小川泰弘、楽天・早川隆久、阪神・高橋遥人がその名を刻んだ。
本家マダックスは13度も記録したわけだが、実はNPBの現役選手では複数回達成した投手は一人もいない。少ない球数で抑えるためには、高い奪三振能力よりも、打者を打ち取る投球術や、精密な制球力が求められる。高い能力が結集した称号でもあるのだ。
相手チームが三振を嫌い、追い込まれる前の早打ちをしかけてくるなど、左右する条件はさまざま。もちろん時の運も左右する。そして試合時間短縮が大きな球界の課題とされている中、省エネ投球は時短にも効果的だ。少ない球数で終えることで、次戦へ向けたリカバリーも相対的に軽くすることができそうで、一石二鳥どころか三鳥も四鳥もある。
次なるマダックスが生まれるのはいつか。メジャーリーグを彩った伝説のレジェンドの名前とともに、その偉業は引き継がれていく。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]