「止めるのは早すぎた」世界王者フルトンが異論 井上尚弥の8回TKOシーンの審判判断に議論噴出「レフェリーが救った」
2025年5月5日(月)16時0分 ココカラネクスト

カルデナスを止め、試合を終わらせたレフェリーの判断に異論が飛んだ。(C)Getty Images
文字通り劇的な展開だった。
現地時間5月4日、米ラスベガスのT-モバイルアリーナで行われた世界スーパーバンタム級4団体統一タイトルマッチ12回戦で、統一王者の井上尚弥(大橋)は、WBA同級1位のラモン・カルデナス(アメリカ)と対戦。8回45秒TKO勝ちを収め、世界戦通算23KOで歴代最多記録を77年ぶりに更新した。
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波乱の幕開けによって激闘が生まれた。互いに打ち合いの様相を呈していた2回に井上は、カルデナスが放ったカウンター気味の左フックを被弾。フッと力が抜けるようにリングに倒れた。
失うものがないと打ち合いに出てきた相手に崩されるのは、24年5月に東京ドームで行われたルイス・ネリ戦を想起させる。そんな衝撃的な展開にT-モバイルアリーナも興奮の坩堝と化す中、井上はクレバーに戦い抜いた。
呼吸を整えた3回以降は、ややオープンになったカルデナスを圧倒。実際、3回以降のジャッジはフルマークとなったように手数で相手を上回ると、7回には右ショートでダウンを奪取。これで挑戦者を完全に防戦一方にし、最後は8回に猛ラッシュで畳みかけた。
もっとも、試合後には意外な指摘も飛んだ。ボクシングのWBC世界フェザー級王者で、元世界スーパーバンタム級2団体統一王者のスティーブン・フルトン(米国)は自身のXで「ストップは予想できたが、ちょっと早すぎた」と指摘。雌雄が決した8回の場面で試合を終わらせたレフェリーの判断に釘を刺した。
23年7月に井上と王座を争って敗れていた名手は、「シンプルに素晴らしい試合だった」「私は何度も彼(井上)に賛辞を送ってきた」と前置きした上で「批判する人がいるかもしれないけど、あの試合終了は少し早すぎたと思う」と率直な持論を語った。
確かにカルデナスは、試合終了直後にレフェリーに対して「まだやれる」とばかりに不満げな表情を見せていた。それだけにファイターの感覚を知るフルトンが「まだ止めないでほしい」と感じるのも無理はない。
ただ、カルデナスは7回に猛ラッシュを受けて力なく崩れ、なおも防戦一方となっていた。そうした試合展開と蓄積ダメージを加味して、レフェリーが井上の勝利を断定したのも納得がいく。
ゆえにフルトンの“見解”には異論も噴出。「レフェリーがファイターを救った」「早めのストップは確かに残念だったけど、良い判断だった」「すでにカルデナスはよろめいていた」「あれ以上に井上の攻撃を受けたら危険だった」といった声が相次いだ。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]