劇的復活V! 菅沼菜々は“ツアーで1番”ボールの近くに立つからパットが上手かった【優勝者のスイング】
2025年5月6日(火)12時15分 ALBA Net
劇的復活優勝を果たした菅沼菜々はボールの近くに立つからパットが上手かった(撮影:佐々木啓)
2023年に2勝を挙げながら、24年はシード落ちを喫していた菅沼菜々がツアー3勝目を飾った。QTランキング102位で迎えた今シーズンは、男子ツアーに参戦するなど新たな試みを行っており、「いつもとは違ったセッティングでプレーしたことで、いいリフレッシュができたのではないでしょか」と話すのはプロコーチの南秀樹だ。
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菅沼のスイングは、バックススイングで左、ダウンスイングでは右に体重が乗るリバースピボットで、ややアップライトな軌道が特徴。感性を生かしたものだが、「以前よりもトップの傾きが少なくなっていて、クラブが上から入るようになっています。もともと振り切りが良く飛距離が出るタイプ。インパクトで合わそうとする動きがないので、このまま好調が続くのではないでしょうか」と、今後の活躍が楽しみだという。
パッティングのスタイルも特徴的だ。“ツアーで一番”と言ってもいいほど、ボールの近くに立ち、スッと自然体でアドレスする。そのメリットについて南は、「目線が高くなるので、ショートパットが近く見えることが考えられます。前傾を深くすれば、同じ1メートルでも遠く見えてしまう。見え方が変われば、世界が変わります。またロングパットではアプローチ感覚になるので距離感が合いやすくなります」。
もう一つ、パターのライ角通りに構えられるのもプラスに働く。「パターの芯でボールをとらえるためには、正しい構えをするのが近道。ライ角度通りに構えることで、ボールの赤道をパターの芯でとらえやすくなります」。ボールの後ろにコインなどを置いて少しヘッドを浮かせて打つのが、芯でとらえるための効果的な練習法となる。ただし、「無理にパターを吊って持つと、引っかけやすくなるので注意が必要です」。
前後のボール位置に加えて、左右のボール位置も結果を大きく変える要素だ。基本となるボール位置は、“左目の下”となるが、左への引っかけや右へのプッシュ、ミスの傾向によってボール位置を調整すると狙ったところに出しやすくなる。「ラインに対して目線が平行に構えられていることが前提になりますが、引っかけるなら左足寄りに、右に押し出すなら右足寄りにボールをセットすることでミスを軽減できます。ボール位置を変えてヒッティングポイントを調整することで、出球が大きく変わってきます」。パッティングの調子を上げるには、普段なんとなく構えているアドレスを見直すことから始めてみよう。
■菅沼菜々
すがぬま・なな / 2000年生まれ。東京都出身。23年8月の「NEC軽井沢72ゴルフトーナメント」で悲願の初優勝。さらに初勝利から2か月後には2勝目を挙げ、メルセデス・ランキング11位につけた。24年は不調に陥り同ランキング79位だったが、25年「パナソニックオープンレディース」で復活優勝を果たした。あいおいニッセイ同和損保所属。
■南秀樹
みなみ・ひでき/プロゴルファーである父の影響でゴルフを始め、高校卒業後にティーチングプロ資格を取得。クラブを使うことを主とする指導法が高い評価を得ている。幼少期から鈴木愛を指導するなど、ツアーで活躍する数多くのプロをサポートしている。(株)ボディスプラウト所属。
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