ベガス熱狂KO!尚弥が世界戦23KO勝利で77年ぶり世界新「殴り合いが好き」

2025年5月6日(火)3時0分 スポーツニッポン

 ◇プロボクシング 世界4団体スーパーバンタム級タイトルマッチ 統一王者井上尚弥(大橋)<12回戦>WBA同級1位ラモン・カルデナス(米国)(2025年5月4日 米ネバダ州ラスベガス T-モバイル・アリーナ)

 世界スーパーバンタム級4団体統一王者の井上尚弥(32=大橋)が、挑戦者でWBA世界同級1位ラモン・カルデナス(29=米国)を8回45秒TKOで下し、プロデビューから30連勝で4度目の4団体王座防衛を飾った。21年6月以来3度目となるラスベガスで、2回にはプロ2度目のダウンを喫したが、逆転で世界戦23KO勝利とし、ジョー・ルイス(米国)を抜いて77年ぶりに史上最多を更新。世界戦25連勝は歴代3位タイとなった。

 “モンスター”がベガスを震撼(しんかん)させた。8回、ついにカルデナスの動きを止め、右アッパーを効かせるとロープを背負わせ波状攻撃。グロッギー状態となった挑戦者を見てレフェリーが試合をストップした。世界記録を塗り替える予告どおりの中盤KO勝利に「僕が殴り合いが好きだということは証明できたと思う。凄い楽しかった!」。鳴りやまない「INOUE!」コールに右拳を掲げて応えた。

 新聖地は入場からライトアップされ、大歓声を一身に浴びた。ただ観客を最初に沸かせたのはダウンシーン。右ストレートで鼻血を出した2回、左フックの空振りに左フックを合わされ、昨年5月のネリ戦以来2度目のダウンを喫した。会場はどよめき悪夢がよぎるも、「このダウンというものが、自分に火を付ける。やっぱりファイターなんだな」とスイッチが入り、7回に右ショート4連発でダウンを奪い返すと、8回に一気にフィニッシュ。“逆転の尚弥”を強烈に印象付けた。

 相手はメキシコにルーツを持つ無名のファイター。井上は下馬評で圧倒的優位だったが「カルデナスは映像で見ていたよりも、2、3倍は強く感じた。ボクシングは甘くないと痛感した」と苦笑いしながら「エキサイティングな試合ができた」と安堵(あんど)の表情だ。米国での初めて制限なしの有観客開催で、メインイベンターとしての役割を果たした。

 メキシコの祝日「シンコ・デ・マヨ(5月5日)」の週末。3日連続でスターが各地で試合に臨んだが、初日、2日目と“凡戦”続きで「試合内容的にもしょっぱい試合はできないなと、熱い思いがあった。僕が一番盛り上げられることができた!」と井上。“大トリ”を勝利で飾り、米国でのファン層拡大へエキサイティングな試合を見せた。

 12年ぶりの年間4試合を見据える中、順当に2試合目をクリア。リング上で次戦は9月にWBA暫定王者アフマダリエフとの団体内統一戦を明言した。「楽しんでいただけたら、また米国で試合をしたい!」。聖地ラスベガスで強烈なインパクトを残したモンスター。これからも前人未到の道を突き進む。

 《もぐもぐカステラで沸いた》「シンコ・デ・マヨ」の週末は今年、初日は米ニューヨークで元WBC世界ライト級暫定王者ライアン・ガルシア(米国)が判定負け。2日目はサウジアラビアでスーパーミドル級王者サウル・“カネロ”・アルバレス(メキシコ)が凡戦と評される判定勝ちに終わった。ドジャース・大谷が出場したブレーブス戦とリレー中継した米スポーツ専門局ESPNのヘイル記者は「モンスターが日曜の夜まで期待外れだったボクシングの週末を救った。日本のスーパースターは悲惨な結末を回避し、大規模なボクシングの週末を締めくくる、思い出に残るパフォーマンスを披露した」と絶賛。会場では井上が試合前にカステラを食べる映像ですら観衆は沸いた。

スポーツニッポン

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