ソフトバンク「こどもの日」9連勝 山川が先制&決勝、リーグ単独トップに立つ7号2ラン
2025年5月6日(火)6時0分 スポーツニッポン
◇パ・リーグ ソフトバンク2—0西武(2025年5月5日 ベルーナD)
ソフトバンクは0—0の6回1死一塁、4番の山川穂高内野手(33)がパ・リーグ単独トップに立つ決勝の7号2ランを放った。故障者続出する中、この日は栗原陵矢内野手(28)を首痛で欠いた打線の中で主砲が存在感を示した。投げては2番手の松本晴投手(24)が開幕11試合連続無失点で今季初勝利。チームも今季2度目の4連勝。こどもの日は2014年以降2分けを挟み、9連勝となった。
均衡が破れそうで破れない。もどかしい展開だったが結局、決めたのはこの男のひと振り。4番・山川だ。
「バットの先でしたが、しっかり振り切ったことで(スタンドへ)届いた。個人的な成績が良くない中で、今日は良かったです」
0—0の6回1死一塁だった。4月6日の対戦で今季1号をいただいた西武・渡辺の初球カットボールを強振する。それと同時に相手はその場に崩れ、主砲は一塁へ歩き始めた。打球は古巣のファンが陣取る左翼席で弾み、勢い良くグラウンドに跳ね返ってきた。リーグ単独トップとなる決勝7号2ランだ。
本塁付近でハイタッチを求めた一塁走者・柳町に激しめに応じたのは「苦しい状況が続いてたし、どうしても引っかかるところがあったので」。おなじみ“どすこい”パフォーマンスより前に内なる感情を爆発させた。
拙攻続きだった。故障者が続出し、3番の栗原まで欠いた打線。初回無死二塁で佐藤直、5回無死一、二塁の渡辺、7回無死一、二塁は野村がいずれもバント失敗で走者を送れない。「あんなに連鎖するもんやなと。意地でも最後までやらせた」と小久保監督もおかんむりだ。そんな空気を吹き飛ばしたのが、山川の一発だった。
5月5日のベルーナドームでの山川は“ヒーロー”の活躍を続けている。西武在籍時の19年楽天戦、22年のロッテ戦でアーチを描き、ソフトバンク加入1年目の昨季は決勝の二塁打を放った。鷹の背番号5の5月5日は通算6試合で3本塁打。打率・429で(21打数9安打)6打点と抜群の勝負強さ。チームは14年から2分けを挟み「こどもの日」は実に9連勝となった。
幼少期の山川少年は、天才打者・イチローに憧れ、沖縄が舞台の野球ギャグ漫画「わたるがぴゅん!」を読みあさっていた。沖縄から東京の中学にやってきた野性児・与那覇わたるが主役のストーリー。そして、この男は福岡から埼玉に来て試合を決めた。「野球少年少女には楽しいことをやってから突き詰めてほしい。うれしい、楽しいをもっとやってくれたら」。チームは今季2度目の4連勝。山川が、思いをバットに乗せて実践した。 (井上 満夫)
〇…ソフトバンクは14年から、阪神は15年からともに引き分けを挟んで「こどもの日」9連勝。5月5日の連勝としては55〜63年西鉄、64〜70年ロッテの各8連勝を上回る最多記録になった。