阪神・森下 幼少期に夢中になったサッカーを断念したまさかの理由とは
2025年5月6日(火)5時15分 スポーツニッポン
◇セ・リーグ 阪神10—1巨人(2025年5月5日 東京D)
阪神は5日、巨人に10—1で大勝し、「こどもの日」の試合は15年から1分けを挟んでプロ野球記録となる9連勝となった。森下翔太外野手(24)は4回に、今季初の2試合連発となる4号同点ソロ。6、7回にも適時打を放つ4安打4打点の活躍で、リーグトップの打率を・336まで上昇させた。敵地・東京ドームでは04年以来21年ぶりとなる開幕4連勝。わずか一日で巨人との同率首位に返り咲いた。
野球少年・少女のつぶらな瞳は、森下にクギ付けになった。0—1の4回2死。3ボールから戸郷が投じた直球に鋭く反応した。白球は瞬く間に左翼席中段へ——。バットをポンっと投げ、ゆっくりと歩き出す確信の4号ソロ。かっこよく、頼もしい憧れのスラッガーが、悠々とダイヤモンドを一周した。
「(3ボールからのスイングは)しっかりタイミングを合わせて振ることだけを考えた。その結果、凡打になっても仕方ないので」
2戦連発となる同点弾は、ヒットパレードの序章に過ぎなかった。中野の適時内野安打で勝ち越した直後の6回2死二塁から、3点目の右前打。7回2死満塁では遊撃・泉口のグラブをはじく2点打を刻んだ。9回無死一塁では左翼フェンス直撃の二塁打を放った。今季初で、巨人戦では2年ぶりの2桁得点を呼ぶ4安打4打点。打率はリーグ断トツの・336まで上昇し、チームは巨人との同率首位に返り咲いた。
「ずっとチャンスで打てていなかったが、チームに貢献できた。これを機に、得点圏打率も上げていきたい」
勝敗の責任を負う虎の主砲にも、純粋な“こどもの日々”があった。1歳の頃、高校球児だった父・善文さんの影響で、クッション性のバットでの素振りが日常。いずれはプロ野球選手に——という親の熱意と裏腹に、保育園では一転、サッカーに夢中になった。
4歳の頃、Jリーグのジュニアチームの体験会に参加し「入りたい!」と母・ゆりさんに懇願。だが、既に募集人数が定員に達し、断念せざるを得なくなった。「落ち込むかな」という母の心配をよそに「うん、わかった」とリセット。サッカーボールは隅に置いた5歳の翔太少年が手にしたのは、新聞紙を丸めたボールとプラスチックバットだ。青空が広がる園庭で、打って走って笑い続けた毎日が原点。森下のモットーは「野球を楽しむこと」。だから、敵も味方も関係なく聞くことができるお立ち台の最後に、こう誓った。
「もっと野球の楽しみを覚えてもらえるような活躍をしたい」
子供たちの目と記憶に色濃く焼き付く、夢と希望の本塁打。走攻守と笑顔で、背番号1は思いを届け続ける。(八木 勇磨)
○…阪神は15年から5月5日「こどもの日」の試合で1分けを挟んで9連勝。同日の連勝では55〜63年の西鉄(現西武)、64〜70年ロッテの8連勝を上回るプロ野球記録となった。なおソフトバンクもこの日の勝利で、14年から2分けを挟んで「こどもの日」9連勝を記録している。
○…今季東京ドームの巨人戦は初戦から4戦4勝。これは04年に並ぶ同球場での最長記録。巨人の前本拠地・後楽園では48年6戦6勝、50年4戦4勝があるが、フランチャイズ制の52年以降に4戦4勝以上はなかった。