進化を見せたB2ベルテックス静岡…東大出身指揮官、森高大HCが「超攻撃的ディフェンス」を掲げた今季の戦いを検証

2025年5月8日(木)7時33分 スポーツ報知

「超攻撃的ディフェンス」をテーマにチームを改革した東大出身の森HC

 ベルテックス静岡が5日のB2プレーオフ(PO)準々決勝の第3戦で富山に敗れ、今シーズンを終えた。リーグ戦で34勝26敗の西地区3位と昨季の29勝(31敗)から勝ち星を伸ばし、B2昇格2年目でPO初勝利をマークするなど確かな進化を見せた。一方で、目標だったB1昇格は逃す結果となった。Bリーグ初の東大出身指揮官である森高大ヘッドコーチ(35)を迎えた1年目の戦いぶりを2回にわたって検証する。

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 B2昇格1年目の昨季と同じPOの準々決勝敗退に終わったが、内容的には成長を示したシーズンだった。借金2で終わった23—24年シーズンから貯金8へと大幅に勝ち星を伸ばした。昨季は最終戦でワイルドカードの切符をつかんだが、今年は西地区3位でPOの権利を手に入れた。ヘッドコーチ業1年目で当初は、期待と不安が同居していた「森ベルテ」が確かな“成果”を残した。

 東大出身の指揮官が、ファクンド・ミュラー前ヘッドとはカラーが違うチームを一からつくり上げた。リーグ2位の3点シュート成功率を誇ったチームから方向転換。新ヘッドは「超攻撃的ディフェンス」をテーマに掲げて守備を重視した。インサイドにリバウンドの強い選手をそろえ、大崩れしないバスケを目指した。

 チームづくりに際して森ヘッドが大切にしていたのがコミュニケーションだった。練習中は語学力を生かして英語で指示。A東京のアシスタントコーチ時代に一時、ヘッドを代行して練習を見ていた際、日本語で指示を出して通訳を介していたが、外国籍の選手に伝わりづらさがあった反省から立ち位置を入れ替えた。

 「自分が英語で話して日本人選手には通訳を介して伝えようと。バスケ用語なら日本人選手にも理解できますから」。指導者の意図が助っ人にもスムーズに伝わった。日本人指揮官に代わり、アルゼンチン人の前ヘッドと比べて、練習中、選手との会話も増えた。

 アシスタントコーチ陣とも密に情報を共有した。試合中、タイムアウト直後は必ず最初にスタッフ4人で意見交換。「1つのジャッジで勝負が決まる。コーチから色々な情報を仕入れる作業をして、そこから選手に伝えることにしていた。ヘッドコーチになって『情報量』が格段に増えました」。試合状況、相手の戦術を踏まえ、どの作戦が最適か、瞬時に選択し、的確に選手へ指示を送った。

 普段の練習で目に付いたのは細部にこだわる「徹底力」だ。ベテランのSG橋本尚明(32)が「とにかく妥協しない人」というように細かな動き、ポジショニングに目を光らせた。練習中、意図しないプレーがあると、笛を吹き、丁寧に説明。イメージ通りの動きができるまで繰り返した。

 ベルテの1試合平均失点75・5点は14チーム中3番目の少なさ。テーマに掲げた「超攻撃的ディフェンス」をつくり上げたのは森ヘッドの「コミュニケーション力」と「徹底力」だった。

(塩沢 武士)

スポーツ報知

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