なぜプロ注目選手の大学進学が急増?「プロは育成より...」大卒新人が活躍、高校生の心境にも変化

2025年5月8日(木)7時0分 スポーツニッポン

 今年の高校野球は、プロ志望の選手が少ないと言われている。プロ注目と言われる有力選手の多くが大学進学や社会人企業への入社を希望しているのだ。

 プロ志望届を提出した高校生は2014年が94人で、10年後の昨秋は高校生159人と年々増加傾向にある。しかし、独立リーグ行きを志望する高校生が増えた影響が大きく、目先の数字ほどNPB志望の選手が多くないのが実情だ。

 実際に、投打二刀流として今秋ドラフト候補に挙がる滝川(兵庫)の新井瑛太(3年)でさえ「これから考えて決めたい」と大学進学を選択肢の一つとしている。昨夏の甲子園優勝に貢献し、世代を代表する左腕の京都国際(京都)・西村一毅(3年)は、すでに進学希望を明言。京都国際は育成指名も含めて6年連続でドラフト指名選手を輩出してる中、小牧憲継監督は「プロでは時間をかけて若手を育てるよりも即戦力が必要されている。1軍で通用する力をつけてからプロに行きたいという考え方も尊重したい」と言及した。

 入団後しばらくは出場機会の限られるNPBの2軍で過ごすのであれば、大学4年間をチームの中心選手として試合に出続けた方が成長できると言う考え方は一理ある。たとえば、20年ドラフト会議で指名を受けた高校生は育成を含めて52人いた。そのうち今季開幕1軍入りを果たしたのは7人のみだった。一方、その高卒5年目選手と同学年で、今季プロ入りした大卒新人のうち開幕1軍をかなえた選手は7人を数えた。一足先にプロ入りすることが必ずしも成長の近道になるとは限らないのだ。

 20年にプロ入りした高校生52人のうち、昨季までに1軍で出場した選手は29人と約半数しかいない。4位以下の選手に限れば17人とより厳しくなる。ある高校生からは「上位で行けないのであれば、大学か社会人を考えたい」と聞いた。それは決して弱気なのではない。自分自身が一番成長できる環境を考え、将来を冷静に判断していると言える。

 京都国際の小牧監督は「西村は入学してから一度もプロ志向にならなかった。それが“高校では1位でプロに行けないけど、大学4年間をかけて1位で行きたい”と言い始めた。その意見を表明できることは素晴らしい」と明かす。上位指名を目指して高卒でのプロ志望届提出見送りが増えている状況を考えれば、今後もしばらくは1位指名に大学生や社会人がずらりと並ぶドラフトが続きそうだ。(記者コラム・河合 洋介)

スポーツニッポン

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