万歳返しの大谷「熱かった」 近代野球史上初のシーソーゲーム “恐怖の土壇場男”の一振りで決着
2025年5月11日(日)1時30分 スポーツニッポン
◇ナ・リーグ ドジャース14—11ダイヤモンドバックス(2025年5月9日 フェニックス)
ドジャース・大谷翔平投手(30)が9日(日本時間10日)、ダイヤモンドバックス戦の11—11の9回に2試合連発となる決勝3ランを放った。両軍計25得点の乱打戦に決着をつけた12号で、両リーグトップタイに浮上。今季6度目の3安打、最多の4打点をマークして打率3割(・304)に乗せ、これで5月は8戦5発と完全に波に乗ってきた。
バットを放り投げて万歳。振り下ろしてパチンと膝の前で合わせた手を、今度は飛行機のように広げて走り出した。3点差から11—11とした9回1死一、二塁。大谷の打球速度113マイル(約181・9キロ)の弾丸ライナーが右翼席へ消えた。両軍7発、26安打25得点の激戦を決めた決勝3ラン。「素直にうれしかった。本塁打になると確信を持って言える打球だった」と興奮を隠せなかった。
3回までに8得点も、先発・佐々木が5回途中5失点など大荒れの展開になった。米データ分析サイト「オプタ・スタッツ」によれば「先制→逆転を許し2点以上リードされ→再逆転して5点以上リード→再逆転され3点差以上つけられ→再々逆転し3点リードした」のは1901年以降125年の近代野球史上初という歴史的シーソーゲーム。「何回もあるような試合展開ではないかな。こっちが最初多く点を取って向こうが追いつく展開も熱かったし、こっちが勝ち越して逆転して抑える展開も熱かった」。大谷も「熱かった」と何度も繰り返す壮絶な一戦だった。
万歳には伏線があった。8—4の5回。相手7番のグリエルが同点満塁弾。両手を高々と掲げていた。8—11だった9回に4連打で追いつきトドメの決勝弾。大谷は「最後ああいう形で自分で決まりましたけど、それまでの追いつく過程がやっぱり素晴らしかった」と“万歳返し”の思いを説明した。
5月5本塁打でヤンキース・ジャッジらを捉えて両リーグトップタイの12号。年間49発ペース。デーブ・ロバーツ監督も「彼のような選手はこれまで見たことがない。本当に異次元」と称えた。前日も本塁打した9回は、今季イニング別で自身トップタイの打率・500、3本塁打、最多の5打点と“恐怖の土壇場男”でもある。
決勝3ランは、前日の11号と並ぶ今季の本塁打では2番目の飛距離となる426フィート(約129・8メートル)。初回は全30球場中28球場で本塁打という423フィート(約128・9メートル)の中越え二塁打で、この日は計373メートルの3長打で打率3割を突破した。「こういう攻撃ができると本当に最後まで諦めない気持ちも出てくる。本当に素晴らしいゲームだった」。充実の汗をにじませて大谷は誇らしげだった。(奥田 秀樹通信員)
≪打点90位以下→50位≫
大谷が2戦連続本塁打を含む今季6度目の3安打。また、4打点は出場37試合目で今季最多だった。前日に米データ分析サイト「オプタ・スタッツ」が「5月以降で本塁打、長打、塁打でトップ5入りしながら、打点で90位以下」は打点が公式記録となった1920年以降で初の珍記録とされたが、これで今季20打点となり50位タイとなった。