井上尚弥の次期挑戦者アフマダリエフは、モチベーション高く「いい選手」 それでも識者が指摘する「不足している」もの

2025年5月13日(火)16時36分 J-CASTニュース

プロボクシングのスーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥(大橋、32)が、2025年5月5日(日本時間)に米ラスベガスで防衛戦を行い、WBA同級1位ラモン・カルデナス(米国、29)を8回TKOで破り、王座防衛に成功した。

年末にはWBA世界フェザー級王者との対戦を計画

試合は、井上は2回にカルデナスの左フックでダウンを喫する波乱の幕開けとなった。井上のダウンは、24年5月のルイス・ネリ(メキシコ、30)戦以来で、プロになって2度目だった。

絶対王者のダウンは、ボクシングファンを驚かせたが、井上はすぐに立ち直り、7回にダウンを奪い返した。続く8回に猛攻をしかけレフリーストップ。ボクシングの本場ラスベガスで存在を示した。

25年の2試合目を逆転TKO勝利で飾った井上。年内に全4試合を計画しており、次戦は9月14日に元WBA・IBF同級王者で、現WBA暫定王者ムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン、30)との対戦を予定している。

アフマダリエフ戦で勝利すれば、年末には階級を1つあげ、WBA世界フェザー級王者ニック・ボール(英国、28)との対戦を計画している。

プロデビューから無傷の30連勝(27KO)をマークする「モンスター」を止める選手は、今後出てくるのか。J-CASTニュースは、多くの世界王者を育てたTMKジムの金平桂一郎会長(59)に話を聞いた。

井上選手といえども階級の壁がだんだん見えてきている

金平会長は、カルデナス戦について「ネリ戦に比べ、今回のダウンの方が、ダメージが深刻だったと思います。カルデナス選手は、井上選手の左フックをかいくぐってパンチを打つ練習を相当していたのでしょう。ダウンのシーンは、それがはまった形になりました。ただ、ダウンをしてもやはり『井上尚弥強し』という印象でした」と振り返った。

そして、「カルデナス戦を通じて言えることは、井上選手といえども階級の壁がだんだん見えてきているということ」とし、次戦で対戦するアフマダリエフに言及した。

アフマダリエフは、16年リオデジャネイロ五輪銅メダリストで、強打と技術を持ち合わせた選手だ。プロでは13勝(10KO)1敗で、唯一の敗戦は、23年4月にマーロン・タパレス(フィリピン、33)に判定負けしたもの。タパレスは23年12月に井上と対戦し、10回KO負けを喫している。

金平会長は、アフマダリエフ戦について「井上選手に分があるのは間違いない。アフマダリエフ選手はいい選手だが、井上選手を食うには、いろいろな意味でスケール不足」と前置きした上で、次のように持論を展開した。

「不安があるとすればスケジュール」

「アフマダリエフ選手は、カルデナス戦を見て、『いける』という気持ちになっているはず。井上選手でもパンチをもらえば倒れるということを目の当たりにしたことで、精神的に勢い付いているでしょう。井上選手と対戦する選手は、『井上尚弥に勝つ』というモチベーションが高い。アフマダリエフ選手には、井上選手を研究する時間があったので、いろいろと見えてくるものもあると思います」

スーパーバンタム級でも破壊力のあるパンチ力は健在で、11試合連続KOをマークした井上。金平会長は今後に関して「不安があるとすればスケジュール」と指摘し、こう続けた。

「9月のアフマダリエフ戦の次は、12月にニック・ボール戦を予定している。スケジュール的にタイトだと思います。そういう意味で、ニック・ボール戦が心配になってくる。やはり疲労が出てくると思います。カルデナス戦は、ダウンをのぞけば完勝でしたが、これまでの試合の中でも、かなりきつい試合でしたから」

「モンスター」の無双はどくまで続くのか。年内はあと2試合。井上のパフォーマンスに世界が注目している。

J-CASTニュース

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