巨人の14年目左腕・今村信貴が大先輩・坂本勇人から学んだ再生へのヒント
2025年5月18日(日)10時0分 スポーツ報知
14年目の今村。1軍で輝くために貪欲に成長を目指す
巨人のファーム選手の今を伝える「From G」。第8回は今村信貴投手(31)。生え抜き投手ではチーム最長の14年目を迎えた左腕は、昨季1軍で7登板に終わった悔しさを胸に、限られたチャンスを全力でつかむ覚悟を激白。2軍調整中の坂本勇人内野手(36)の姿から再確認した準備の大切さや、コンディション維持のために取り入れたものについても明かした。(取材・構成=臼井 恭香)
生え抜き投手として最長となる14年目の今村は、再び1軍で輝くため準備を重ねている。今季はまだ1軍登板なしだが、2軍では14登板で防御率1・69。投球回を超える17三振を奪うなど安定した投球を続けながら、貪欲に成長を目指す日々を送っている。
「今は直球でファウルや空振りが取れていない。直球が一つの指標なので、(力の)伝わり方がいまいちだから取り組んでいる最中です」
2011年ドラフト2位でプロ入りし、今年3月には31歳になった。若い時と比べ、肉体の変化を感じる機会も増えてきた。昨オフからは股関節と胸郭のトレーニングに注力し、今も継続している。
「体は硬くなるし、今は(数を)投げたり、トレーニングをしないと勝手に出力が落ちていく。股関節が硬くなると、軸足(左足)をホームに対して直線で使わないといけないところが遠回りして、100%の力が70%くらいの力になる。ウェートトレーニングや股関節、胸郭の柔軟性、いろいろなことをやらないといけないから、朝のアーリーワークの量も増えました」
4月下旬には、準備の大切さを再確認する機会があったという。
「仙台遠征中にアーリーワークに行ったら(坂本)勇人さんが一人でいたんです。『年齢を重ねると、やることが増えないですか?』と聞いたら『増えるよ』と。やっぱりそうなんだと感じたし、あのスーパースターでも朝から誰よりも早く来てやることをやっている。やっぱりやらないといけないんだと思わされました」
春季キャンプは2軍で過ごした。高梨、近藤、高橋ら他球団から移籍してきた選手が多い中、若い選手が過ごしやすい雰囲気作りを心がけた。グアム自主トレに参加させてもらうなど、師匠と言える存在の内海投手コーチら先輩から学んだプロとしての姿を、後輩たちに伝えていく役割も担う。
「高卒でここまでやってきて、いろいろな先輩の話を聞いたり、経験をしてきた。内海さん(現1軍投手コーチ)は誰よりも準備してやってこられた方で、それを見てきたからこそ、準備が大事だとか、そういった姿もなるべく見せていきたい。これからも伝えていこうと思います」
もちろん、まだ後輩たちにポジションを譲るつもりはない。フレッシュに投げ続けるために、今年から新しく始めた習慣がある。
「毎朝1杯の青汁をキャンプから飲み始めました。毎年キャンプ期間には、『なかなか減らないな』と感じながら3キロくらい体重を落としていたんですが、今年は順調に落ちて、しかも増減がない。ベスト体重である90〜91キロでずっと維持できています」
昨年は2軍で42試合に登板して防御率2・03と好成績を残すも、1軍では7登板にとどまった。毎年、新戦力が入ってくるプロでは、年齢を重ねるにつれてチャンスは自然と少なくなる。自身が置かれた立場を理解した上で、一皮むけた姿をグラウンドで証明したいと意気込む。
「監督、コーチも一緒にやってきている人が多い。『今村だったらこれくらいの技量』だと分かっているから、同じぐらいの技量だったら若い子を使うだろうな…と。これまで3年連続で最速が149キロなので、今年こそは150キロ以上。打者を抑えることを一番に考えながら、150キロを目指しています」
おっとりとした話し方の愛されキャラだが、ハートは熱く燃えている。
「自分の最大限やれることをやって、チャンスをものにできるように。ただそれだけです」
淡々と結果を残し、1軍の舞台を待つ。
◆今村 信貴(いまむら・のぶたか)1994年3月15日、大阪・四條畷市生まれ。31歳。太成学院大高から2011年ドラフト2位で巨人入団。2年目の13年にドラフト制後、球団左腕最年少の19歳6か月での初勝利。18年に自己最多の6勝。あだ名は「のぶ」。180センチ、90キロ。左投左打。背番号26。