捕手の真上に上げるはずが…ファウルゾーンの1階席最上段へ 移籍2号の巨人・リチャードがノックバットで規格外パワー

2025年5月19日(月)5時0分 スポーツ報知

5回2死一、三塁、代打・リチャードが中越えに2号3ランを放つ(カメラ・上村 尚平)

◆JERA セ・リーグ 巨人4ー7中日(18日・東京ドーム)

 巨人のリチャード内野手(25)が、メジャー級の東京D初本塁打を放った。中日戦の5回に代打で中堅右へ逆転3ラン。逆方向にもかかわらず、ドジャース・大谷らMLBトップクラスに匹敵する打球速度181キロの驚弾をたたき込んだ。救援陣が終盤に再逆転を許して連勝は2で止まり4位転落も、12日にソフトバンクから加入したばかりのロマン砲が底知れないパワーを見せつけた。チームは20日から敵地で首位・阪神との3連戦に臨む。

 勢いを失わないまま伸びていった白球が、そのままバックスクリーン右に消えた。つんざくような大歓声を浴びながら、リチャードは全速力でダイヤモンドを駆け抜けた。「耳がこう、ぼわってするぐらい盛り上がったんで、打った自分もすごくうれしかった。(バットにボールが)当たってくれたって感じです」。待望の東京D初本塁打が、一時逆転となる2号3ラン。新しい本拠地のファンへ打球速度181キロの弾丸アーチを名刺代わりに届けた。

 1—1の5回に勝ち越しソロを許した直後、首脳陣から「準備しといて」と声をかけられた。劣勢ムードで「思い切ったことしないといけないなと」と気持ちを奮いたたせて同回2死一、三塁から代打で打席へ。松葉の初球、チェンジアップに豪快に空振りしても「合わせたスイングをしないようにっていうのは心がけて。空振ったんすけど、切り替えて自分のスイングができた」とぶれなかった。捕手の構えよりやや内角寄りに入った低めのスプリットを、今度は逃さなかった。ソフトバンク時代は17打数無安打、2四球だった代打で、大仕事をやってのけた。

 進むべき道が定まった。トレード発表から一夜明け、即1軍に合流した13日の試合前だった。阿部監督にマツダの監督室へ呼ばれると「『右中間に(打球を)飛ばす気持ちで』って言うけど、全く右中間へ打ちにいってない」と、問いかけられた。ソフトバンク時代のデータを2人きりの空間で分析し「そこから広角に打てるようにしてます」。親心に、センターより右へのアーチで満点回答した。

 メジャークラスの規格外のパワーを存分に発揮している。打撃練習では既に、チームトップクラスの岡本、キャベッジに匹敵する打球速度をマーク。この日の試合前には捕手のフライ練習でノックバットを握ると、真上に上げるはずの打球を勢い余って一塁側ファウルゾーンの1階席最上段まで放り込んだ。「すみません!」と顔を赤くするリチャードを見た甲斐ら先輩ナインは爆笑。愛らしいキャラクターでも、新天地に溶け込んでいる。

 加入後の5試合で打率2割も、3安打のうち2本が本塁打だ。「ヒットは打ててなかったんですけど、少しずつ自分のスイングができるようになってきた。今日(本塁打が)出てほんとにちょっと、自信になります」。もがき続けてきたロマン砲に、覚醒の気配が漂い始めている。(内田 拓希)

 ◆大谷の打球速度 17日(日本時間18日)までに今季16本塁打を放っており、平均打球速度は109.7マイル(約176.5キロ)。180キロ超は6本。これまでの最速は昨年4月23日ナショナルズ戦の6号と、7月27日アストロズ戦の同32号でマークした118.7マイル(約191キロ)。

スポーツ報知

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