阪神・藤川監督「全体を見て、勝てた」 代打策&継投策ズバリ的中 「みんなが素晴らしいから取れた」
2025年5月18日(日)18時34分 スポーツニッポン
◇セ・リーグ 阪神3-1広島(2025年5月18日 甲子園)
広島との首位攻防3連戦を、勝ち越した。勝因を問われた阪神・藤川監督は開口一番、「難しいですね」と切り出し、続けた。
「全体の流れがあって、ですから。全体を見て、勝てたというところですね」
序盤は劣勢だった。2回無死二塁、3回無死三塁という絶好機に得点を奪えず。後手に回り、4回に1点のビハインドを背負った。だが、0—1のまま迎えた6回、相手の拙攻から、思いがけない流れを手にした。2死三塁、打者・末包という状況で、三走・中村奨が本盗を企図。その阻止によって、ピンチをチャンスに変える機会を手にした。
潮目の変化を感じ取ったのだろう。指揮官は、直後の攻撃から一気に攻勢をかけた。6回終了時でまだ投球数が79球だった先頭の伊原に、代打を送ったのだ。指名したのは、この日が22歳の誕生日だった前川。若虎のバースデー右前打を皮切りに打線は活気づき、森下の決勝打などで勝ち越しに成功した。「素晴らしい誕生日じゃないかと思います。スタンドのファンの方が、バースデー(ソング)をね。歌っていただきながら、打席に立ってヒットを打つという。それはなかなかできることじゃない」。球場の雰囲気を変える意図もあったのか。積極果敢なベンチワークで、逆転劇を演出してみせた。
“本職”の投手起用でも、巧みにタクトを振るった。2—1と勝ち越しに成功した直後の7回だ。相手打線は末包、坂倉、モンテロという、いずれも一発長打を秘めた打者が続く打順。ここで及川でも石井でも桐敷でもなく、湯浅を投入した。右腕は1回無安打無失点と好投し、相手ベンチの鋭気をくじいてくれた。「もともとイメージしていた通りで、プラン通りでいきました」と指揮官。8回は桐敷で切り抜け、9回は「(岩崎は)連投ですもんね」と、石井に託して勝ちきった。及川、岩崎という勝ちパターン左腕2人を温存することに成功するとともに、新たな“方程式”の確立にもメドを立てた。
だが、指揮官は自らの采配を誇ることはない。あくまで、主役は選手だからだ。「みんなが素晴らしいからこそ、接戦でも取れた。そういうような日でしたね」。大きな1勝をつかみ、首位を堅持。2位・広島とのゲーム差を1・5に広げた。