阪神・伊原 相性抜群の甲子園で6回1失点3勝目 野手の援護に「本当に感謝」
2025年5月19日(月)5時15分 スポーツニッポン
◇セ・リーグ 阪神3-1広島(2025年5月18日 甲子園)
阪神ドラフト1位・伊原が、聖地で躍動を続けている。プロ初先発初勝利を挙げた4月20日に続き、甲子園で広島打線を封じ込めた。
「とにかく6回を投げ切れたところが良かったかな。本当に、3勝というところは僕の力じゃないので。野手の方あってのことなので、そこは本当に感謝したいと思います」
雪辱を期す相手にもひるまない。テンポ良く淡々と、かつ内外角に丁寧に投げた。序盤3イニングは完全投球。4回に末包の右犠飛で先制点を許し、なおも2死三塁の場面では、同学年の右翼手・森下の好捕に助けられた。「とにかく捕ってくれ、という思いで見ていました」。6回2死三塁では本盗を仕掛けられたが「やってくることは分かっていた。足を上げた時点でランナーが見えた」と慌てることなく阻止した。6回4安打1失点で3勝目。新人左腕は白星を全て甲子園で挙げており、智弁学園(奈良)時代もプレーした本拠地との相性は抜群だ。
初勝利を挙げた4月20日の広島戦。堂々としたマウンドさばきからは新人らしからぬ雰囲気が漂っていた。女房役を務めた坂本は強心臓ぶりを高く評価。「冷静に状況を見ながら投げてくれるので、あまりルーキーと思って(僕は)やっていないかな」と言う。
プロとしての第一歩を踏み出した1勝目。さぞかし喜んでいるかと思いきや、試合後の背番号18の様子はいつもと変わらなかったという。坂本は「そんなにうれしそうでもなかった。普通のことです、みたいな感じ。彼なりの振る舞いというか、良いことだと思う」と少し驚きつつも好意的に受け止めた。
もちろん、うれしい気持ちはある。しかし、それを上回ったのは飽くなき向上心だった。「満足したら終わりそうな気がした。別に1勝するために頑張っているわけでもなかった」と伊原。言葉と表情からにじんだのは、プロの世界で生き抜くための強い覚悟だ。真っすぐな視線は、その先に向けられていた。
日々の結果に一喜一憂しない。そして、現状に満足しない貪欲さが、成長を後押しする。(山手 あかり)