【畑野理之の談々畑】首位攻防戦は阪神の守り勝ち 決定打になった外野守備の差 浜風対策が功を奏した

2025年5月19日(月)8時0分 スポーツニッポン

 ◇セ・リーグ 阪神3-1広島(2025年5月18日 甲子園)

 甲子園球場は右翼から左翼に向かって強い風が吹いていた。バックスクリーンの旗は激しく揺れていた。いわゆる浜風。試合前の練習が始まると阪神・筒井壮外野守備走塁コーチが打撃マシンを空に向けて、大きな“外野ノック”を高々と打ち上げていた。東西に海が近い沖縄・宜野座キャンプ中に森下翔太や前川右京らが右往左往していたのを覚えている。そのメニューをこの日、熊谷敬宥や中川勇斗が体感していた。

 広島は外野への飛球が多かった。4回先頭の中村奨成の一塁ファウルゾーンへの二邪飛を含めると、フライアウトは6回以外の8イニングで計13個もあった。全て無難に捕球した。

 特に4回2死三塁で坂倉将吾の大飛球を森下が右翼フェンスにぶつかりながら好捕。7回1死での坂倉の左中間への飛球は熊谷が追いついた。逆転した直後だっただけに抜けていれば展開は変わっていた。外野の後ろを一度も越させなかった。

 無難にと書いたが、決して簡単ではなかったと思う。日本気象協会の観測による風速3〜4メートルの風は、甲子園上空ではもっと強く感じられたからだ。それでも阪神外野手陣が「難なく」に見せていたのは、準備とポジショニングの勝利だろう。

 筒井コーチはベンチ中央に立って両手を手旗信号のように動かして外野手3人に守備位置を指示。いつものように打者ごとにライン際や右中間・左中間に寄せたり、前を守らせたりした。左翼経験の多くない高寺望夢がスタメンで7回からは熊谷が就き、何度も前後左右に動かした。前述したシーンでも森下を少し深めに下げ、熊谷はあらかじめ左中間へ寄せていた。試合後、ニコッと笑って「はい、ハマりましたね」とだけ答えてくれた。

 阪神が6回に逆転したシーンは1死二塁から中野が左前打して、サンドロ・ファビアンがファンブル。二塁走者の熊谷が同点のホームを踏んだ。ファビアンが中継を挟まず高い送球でバックホームをしたため、打者走者の中野もそれを見て二塁へ。続く森下の左前打は勝ち越しのタイムリーとなった。

 熊谷は「捕り方がヘタクソなので。筒井コーチとも練習から一緒にやっています。まだまだですけど」と話した。目立たないが勝因の一つに挙げたい。外野守備の差が決定打となった首位攻防戦。阪神の守り勝ちだった。

スポーツニッポン

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