T―岡田氏がオリックスの開幕ダッシュ成功の要因を徹底分析 選手、監督の本音に迫った!
2025年5月20日(火)5時45分 スポーツニッポン
オリックスの球団アンバサダーで、本紙評論家のT—岡田氏(37)が読者からの質問に答えたり、選手らを直撃して舞台裏の秘話をお届けする新企画「とっておきの話 聞いてオリます」の第2回は現場に潜入した。5月は数回、京セラドームを訪れて試合前に岸田監督や選手らを積極“取材”。昨季はリーグ5位に低迷するも、今季は開幕ダッシュに成功した。リーグ3位で健闘するチーム状況を分析し、現場で聞いた生の声をお届けする。
【T—岡田氏 とっておきの話 聞いてオリます】
5月上旬までは先発陣の安定した活躍が大きかった。しっかり役割を果たしていたことがチームの勝利につながっていた。試合の序盤から大量ビハインドを背負う展開になるケースは少なかった。ある程度、先発が試合をつくっていたと言える。
ここまでチームは41試合を消化して20勝18敗3分け。今季は4月3日から5月10日まで首位をキープした。3、4月は15勝10敗2分け。この27試合で先発に白星が付いた試合は10試合で、黒星はわずか4試合。この数字がチーム好調の要因を物語っている。5月も含めると19日時点で白星は14試合で、黒星は10試合。昨年と大きく異なる点では安定感を誇る宮城に加えて九里の加入が大きい。序盤から失点を重ね、追いかける展開となれば当然攻撃陣にも重圧がかかる。しかし、ここまでは先発陣の奮闘が攻撃の活性を生んだ。チームとして好循環の状態だったと分析する。
攻撃陣に目を向ければ、リーグ1位のチーム打率・263の数字が目立つだろう。しかし数字には表れないが、各打者の打撃内容が素晴らしかった。結果的にアウトになった場合でも、粘った末のアウト、また相手投手に多くの球数を投げさせていた。四球数はリーグ4位の108個。打線全体を見ても打順上位の太田がけん引。そして中川がしっかり打点を挙げていた。頓宮や杉本は攻撃の流れが止まりそうな時に貴重な一打を放っていた。また、新戦力である麦谷の足も光った。「出塁」「送る」「還す」といった攻撃陣の基本ができていた。各打者が自身の役割を理解し、仕事を全うしていたことが打撃好調の要因につながった。
一方で、不安要素があることも事実だ。攻撃陣ではチームの得点圏打率が低いこと。中川に続くポイントゲッターの出現が求められる。投手陣では救援陣。故障が多いという苦しい台所事情はある。その中でも8回、9回につなぐ救援投手の台頭が急務。個人的には経験のある山崎に期待したい。打者を圧倒する投球スタイルが持ち味のため、相手の流れを制圧できる。
ペナントレースは残り102試合。まだまだ先は長い。そのため今は順位に左右される必要はない。まずは、一区切りと位置付ける交流戦までに貯金5をつくりたい。また、優勝争いをするためにも、苦手チームをつくらないことが重要。昨季、ソフトバンクに対しては6勝18敗1分け。今季に関しては、そこまで苦手意識はないと思うが、ここまで1勝5敗2分けと苦戦。秋を見据える上でも早い段階で勝敗を五分に持っていきたい。そこがチームとしてのテーマとなる。長いシーズンの中で、一つ目の踏ん張りどころを迎えた。ここを乗り越えられれば、さらにチーム力は上がってくる。 (スポニチ本紙評論家)
T—岡田氏は記者顔負けの“取材力”で数多くの情報をゲット。履正社(大阪)の6学年先輩でもある岸田監督には現状を取材。やはり故障者が多い投手陣は気がかりの様子も、新戦力の活躍には目を細めていたという。「九里(の存在)は非常に大きい」。また、リーグ3位に位置する打率.294の西川も直撃。今春のオープン戦では39打数2安打で打率.051と苦しんでいた。しかし開幕後は好調を維持。その一つの理由を明かした。
「(開幕直前に)バットを立てて、高く構えるようにしました。シンプルに。(バットを下に)落としていくだけ(のイメージ)に変えました」
リーグ3位タイで23打点の中川は試行錯誤の段階と強調。「打席の中で変えながら。もっともっといいものを探りながらやっています」と言えば、杉本は「良い状態ではないですけど、一日一本、気合で打っています」と明かしたという。川島打撃コーチには打撃好調の要因を直撃。「(打線全体で)こうしていこうと決めてしまうと(選手の)逃げ道がなくなるので、あえて提案程度にしている。精神的に楽な状態にしている」と舞台裏を明かした。