アレックス・パロウがスペイン人初のインディ500制覇。「オーバル初優勝、これ以上の場所はない」
2025年5月26日(月)12時5分 AUTOSPORT web

3度のNTTインディカー・シリーズ・チャンピオンであるアレックス・パロウが、キャリア初のオーバル優勝をもっとも権威あるインディアナポリス500マイルレースの優勝で達成した。
日本のスーパーフォーミュラを経て海を渡りアメリカのオープンフォーミュラで活躍する28歳のスペイン人ドライバーは、5月25日に行われたインディ500の第109回大会を制した後、表彰台で「このミルクは今まで飲んだなかで一番美味しい。最高の気分だ」と語った。
開幕から5戦4勝と絶好調でインディ500のレースウイークを迎えたパロウは、走りはじめのプラクティスから3番手につける好調なスタートを切り、2度目のプラクティスではトップタイムをマーク。予選初日も全体ベストを記録し、トップ12クオリファイに駒を進め、最終的に2列目6番グリッドの好位置を得た。
迎えた決勝は降雨による43分のスタートディレイに始まり、200周で争われたレースの各所でアクシデントが発生する波乱の展開に。
そんななかパロウは終盤の187周目にトップを走るマーカス・エリクソン(アンドレッティ・グローバル)をパスすると、その後は一度もリードを許すことなく周回を重ね、最後はファイナラップで起きたクラッシュによるコーション下でチェッカーフラッグを受け悲願のインディ500初優勝を飾った。
スペイン人ドライバーによる優勝は史上初。一方、チップ・ガナッシ・レーシングによるインディ500制覇は2022年のエリクソン以来、3年ぶり6回目となっている。
「信じられない!」とパロウは語った。「優勝できて本当に嬉しいよ。レース中、本当に良い感触を味わえた瞬間もあったが、最後はマーカス(・エリクソン)をパスできるかどうか分からなかった。それでも、なんとかやり遂げた。初のオーバル優勝だ。これ以上の場所はないよね」
2連覇中のシリーズ王者は、これで開幕から6戦を終えた時点で5勝をマークすることとなり、ランキングでは2位のパト・オワード(アロウ・マクラーレン)に対して115ポイントもの大差をつけている。
優勝チームのオーナーであるチップ・ガナッシは、「この優勝はアレックス・パロウのキャリアを作るだろうし、彼の人生、そして私の人生にとっても素晴らしいものになるだろう」と述べた。
一方、惜しくも2位となったエリクソンは次のように胸の内を明かした。「正直に言うとレースが終わったあと、ピットに入って泣いていた」と彼は語った。
「本当にあと少しで優勝できるところだった。周回遅れのドライバーたちが前に入ってきた影響で、後ろからアレックス(・パロウ)が追いつくことができた。彼はうまくトウ(スリップストリーム)を使い、完璧なタイミングで合わせてきたんだ」
187周目、このレースの22回目にして最後のリードチェンジはターン1で行われ、インディアナポリス・モーター・スピードウェイに詰めかけた35万人の大観客を沸かせた。
「僕としては、彼がどこで仕掛けてくるのか分からなかった」とエリクソン。「いまもずっとそのことを考えている。もちろん、コーナーの内側でカバーするべきだった。
「痛かった。また惜しところで優勝のチャンスを逃してしまった。これで2回目の2位。ここは勝者総取りの舞台だ。だから正直に言って本当に辛い。それでも、最後まで戦い続けたアレックスとチップ・ガナッシ・レーシングを祝福する。優勝おめでとう」