大の里が「唯一無二」に込めた思い 「勉強」1敗、来場所こそ「次の地位で全勝優勝」

2025年5月26日(月)5時0分 スポーツ報知

豊昇龍(左)に上手ひねりで敗れ、顔をしかめる大の里。全勝優勝を逃した(カメラ・今西 淳)

◆大相撲 ▽夏場所千秋楽(25日、東京・両国国技館)

 大関・大の里(24)=二所ノ関=の横綱昇進が事実上、決まった。結びで横綱・豊昇龍に敗れて全勝Vは逃したが、審判部は打ち出し後、八角理事長(元横綱・北勝海)に昇進を審議する臨時理事会の開催を要請。28日に第75代横綱が正式に誕生する。今年初場所後の豊昇龍に続く昇進で、日本出身は17年初場所後の稀勢の里(現・二所ノ関親方)以来。名古屋場所は7月13日に新会場のIGアリーナで初日を迎える。

 全勝優勝で横綱昇進に花を添えられず、悔しさが残った。千秋楽の結びで、大の里は豊昇龍を突いて右をのぞかせたが、上手ひねりであおむけにされた。土俵上でしばしぼう然となり、「悔しいですね。最後勝ちたかった」。13日目に2場所連続優勝を決めた後も余韻に浸ることはなく準備してきた。だが、横綱に今場所初黒星を喫して「これも経験、勉強。来場所、もう一度しっかり集中したい」と表情は崩さなかった。

 打ち出し後、臨時理事会の開催が決まり、第75代横綱誕生の運びとなった。初土俵から所要13場所での最速昇進。そう伝えられると「水曜日(の伝達式)にいい報告が聞けるように待ちたい」とうなずいた。

 番付最高位の重みを誰よりも意識してきた。優勝して大関昇進を決めた昨年秋場所。伝達式の口上について、新潟・海洋高時代の監督だった村山智明氏(46)に「(口上で使う言葉を)考えてもらって良いですか?」と電話した。同氏は突然の依頼に戸惑いつつ、大の里の父・中村知幸さん(49)の「『唯一無二』の存在であってほしい」という言葉を思い出した。

 伝達式前日、その言葉を伝えられた大の里は「めっちゃいいですね」と喜んだ。ただ、周囲から「あまりに良すぎる。横綱昇進まで取っておいた方がいい」という声が上がった。同時期に師匠・二所ノ関親方から横綱の重みを説かれていた。迷いはなかった。自らに、もう一つ上の番付を意識する意味も込めて、プレッシャーをかけた。口上では「これ以上のお相撲さんは現れないという意味を込めた」と説明。その名に恥じぬ研さんを重ねた。

 八角理事長は「安定感があって伸びしろがある」と24歳の今後に期待。7月の名古屋場所は東西に横綱がそろう。大の里は「次の地位で全勝優勝を目指せるように頑張りたい」と顔を上げた。「唯一無二」の存在へ、さらに進化する。(山田 豊)

 ◆大の里に聞く

 —15日間を振り返って。

 「落ち着いて相撲が取れた。自分の良さがたくさん発揮できた。最初の5日間で、いい流れをつくれたのが優勝につながった」

 —全勝は逃した。

 「(2度目の優勝を14日目に決めた)昨年の秋場所で千秋楽に敗れ、反省を生かそうと思ったが負けてしまった」

 —どんな気持ちで綱取りに臨んだか。

 「場所前に体調不良があり不安もあったが、親方(師匠の二所ノ関親方)のことを信じてやっていけた」

 —重圧はあったか。

 「ないと言ったらうそになる。4月の巡業で『綱取り』とたくさん声をかけてもらい、耳が慣れたので、何も考えずに挑むことができた」

 —故郷の石川県からの大きな応援も受けた。

 「優勝を届けることができてよかった」

 —来場所に向けて。

 「大事な場所になってくる。いい場所を過ごせるように頑張る」

 ◆大の里の横綱昇進にまつわる記録 初土俵から所要13場所で昇進すれば昭和以降では羽黒山、照国の16場所を上回る。新入幕から所要9場所での昇進は年6場所制となった1958年以降では大鵬の11場所を抜く。日本出身横綱誕生は2017年初場所後の稀勢の里(現・二所ノ関親方)以来。大卒では日大の輪島以来2人目で、石川県出身も輪島以来3人目。番付の東西に横綱が並ぶのは21年秋場所の白鵬、照ノ富士以来となる。

 ◆横綱とは

 ▽由来 諸説あるが、地鎮をするとき、綱を腰に締めて地面を踏む儀式から生まれたとされる。

 ▽収入 月給が大関の250万円から300万円にアップ。

 ▽付け人 現在は3人程度だが、綱締めなどがあるため、10人ほどに増える。

 ▽特権 負け越しや休場でも地位は下がらない。日本国籍があれば、引退後の5年は、しこ名のまま年寄として、協会に残れる。

スポーツ報知

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