大の里 対策不可の速攻 まさに「令和のF1相撲」 平均取組時間驚異の4秒2

2025年5月26日(月)4時39分 スポーツニッポン

 ◇大相撲夏場所 千秋楽(2025年5月25日 両国国技館)

 【「唯一無二」の新横綱 大の里(上)】日本相撲協会が財団法人設立を認可されて100周年の節目に待望の日本出身横綱が誕生した。師匠の稀勢の里から8年。わずか2年、所要13場所のスピードで昇進した大の里は「新時代の旗頭」として大きな期待を集めている。その魅力と可能性などを3回にわたって分析する。

 大の里が番付を駆け上がるにつれて対戦相手の嘆きがエスカレートしている。「右を差されたら終わり」「対策が思い浮かばない」。入門前から稽古で胸を合わせたこともある高安は大の里の優勝決定後に「もう勝てないかもしれない。それぐらい強くなっている」と驚きの声を上げた。

 夏場所の取組時間を調べてみた。大の里の平均時間は4秒2。大関・琴桜(15秒1)はもちろん、激しい突き放しを得意とする横綱・豊昇龍(6秒1)よりも速さで上回っている。速攻が身上だった元関脇・琴錦とはタイプこそ違うが「令和のF1相撲」の形容がふさわしい。

 激しい当たりから右を差し込んで迷わず一気に前に出る。F1相撲を支える「勝利の方程式」だ。右は差すだけでまわしにはこだわらない。左も上手を狙わず、おっつけか相手の差し手を抱えたまま。本人の話では大学時代に50メートルを7、8秒で走るなど運動神経は抜群。1メートル92、191キロの巨体が躍動する究極の速攻相撲は前人にも見当たらない。優勝45回の宮城野親方(元横綱・白鵬)は「似ている力士と言われて思い浮かぶのが曙さん、武蔵丸さん…。形がないといえばそれまでですが、過去にいなかったタイプの押し相撲かな」と分析した。

 場所前には体調不良で5日間も相撲を取る稽古ができなかったが、稽古量を増やすなど5日間の集中稽古でここ数場所で最高の状態に仕上げた。1日稽古を休めば取り返すには何日もかかると言われる世界で、従来の概念を覆す調整法で綱獲り場所を乗り切った。天才肌と言ってしまえばそれまでだが、新時代の最強男たるゆえんである。(特別取材班)

スポーツニッポン

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