大の里 全勝Vならず「勝ちたかったけれど経験、勉強」 28日臨時理事会で「第75代横綱」正式誕生

2025年5月26日(月)4時40分 スポーツニッポン

 ◇大相撲夏場所 千秋楽(2025年5月25日 両国国技館)

 13日目に2場所連続4度目の優勝を決め、横綱昇進が確実な大関・大の里(24=二所ノ関部屋)が横綱・豊昇龍(26=立浪部屋)に上手ひねりで敗れ、14勝1敗だった。21年九州場所の照ノ富士以来の全勝優勝は逃した。番付編成を担う審判部は八角理事長(元横綱・北勝海)へ臨時理事会の開催を要請し、理事長は受諾。26日の横綱審議委員会で推挙されれば、28日の臨時理事会を経て「第75代横綱・大の里」が誕生する。

 東支度部屋へ戻った大の里が初めて表情を緩めた。豊昇龍の上手ひねりに背中から落ち、初黒星を喫した。優勝力士インタビューでも表情は硬かったが、家族や支援者の拍手に迎えられ、気持ちが入れ替わった。「勝ちたかったけれど経験、勉強。自分の良さをたくさん発揮できた」。自身に言い聞かせるようだった。

 全勝Vを懸けた豊昇龍戦。もろ手突きから右喉輪で押し込んだが、引き足のスピードに勝る横綱と距離ができた。左からのおっつけも不十分で土俵へ転がされた。圧倒的な強さで連勝街道を突っ走ってきた今場所も最後の最後に「綱の壁」にぶち当たった。「最後にああいう形で悔しい」。だがこの負けが大の里をもっと強くする。これからの「大豊時代」の到来を予感させた。

 立ち合いで鋭く踏み込み、右差し、左おっつけの形が必勝パターン。もろ手突きからの突き、押しの引き出しもあり、今場所は苦しくなると引く悪癖も減った。進化は顕著だった。来場所は白鵬が引退した21年秋場所以来、22場所続いた一人横綱が終わり、番付表の東西に横綱が座る。「次の地位で優勝、全勝を目指せるように頑張りたい」と言葉に力を込めた。

 春場所後の3月28日。大阪から6時間をかけ、昨年元日の能登半島地震で甚大な被害を受けた石川県珠洲市と輪島市に向かった。電柱は海の方に向いて倒れ、道路もガタガタだった。それでも郷土のスターは多くの歓迎を受け、涙する人もいた。大の里は「あの人たちが喜んでくれたら僕は凄くうれしい。お相撲さんにはそういう力があると感じた」と言った。

 横審は出席委員の3分の2以上が賛成すれば推薦が決まり、28日の臨時理事会で「第75代横綱・大の里」が正式に誕生する。日本出身の横綱は師匠の二所ノ関親方(元横綱・稀勢の里)以来8年ぶり。初土俵から所要13場所の昇進は年6場所制となった58年以降の最速記録。大相撲の新時代が幕を開ける。(筒崎 嘉一)

スポーツニッポン

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