“史上最悪の助っ人”と揶揄された男が理論派の米代表コーチに転身 元鷹ペニーの今「とにかく野球に恩返しがしたい」

2025年5月30日(金)5時40分 ココカラネクスト

MLBで高い実績を残しながら、NPBでは本領を発揮できずに去っていったペニー氏。現役引退後は指導者に転身していた。(C)Getty Images

 かつて「史上最悪」と揶揄されたNPB助っ人は、指導者として野球の発展に尽力している。

 現地時間5月28日、米YouTubeチャンネル『The Baseball Insiders』に出演したのは、元ソフトバンクの助っ人投手であるブラッド・ペニー氏だ。2016年に現役引退を決意した剛腕は、U-18米代表の投手コーチに転身。後進の指導に心血を注いでいるという。

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 ペニー氏の名が日本球界で広まったのは、キャリアの晩年だった2012年のこと。入団の前年までにMLB通算119勝を挙げ、2006年に最多勝(16勝)のタイトルを獲得した実績を持ち、推定年俸2億2500万円とされた同氏への期待は半端ではなかった。

 ただ、彼は日本の水には馴染めなかった。開幕直後の4月4日に行われた楽天戦で、4回途中6失点でKOされると、右肩の痛みを訴えて登録抹消。球団の実施した精密検査で異常は見当たらなかったが、わずか1試合の登板で退団となった。

 退団からわずか10日後にジャイアンツと契約したペニー氏。当時の素行不良もあいまって、ソフトバンク・ファンはもちろん、日本の野球ファンからも「史上最悪の助っ人投手」のレッテルを貼られた。

 そんな衝撃の退団劇から13年の時は経ち、46歳となったペニー氏は、米代表のスタッフとして尽力。MLBで残した実績を買われ、未来の野球人育成に携わっている。

 現役時代に見せていた粗暴な振る舞いとは裏腹に、現場において重宝しているのは、球界のトレンドとなっている「データ」だ。「選手たちには目の前のマシンのことは気にしないで、ボールをこねくり回す前に、ひとまずリラックスして練習しよう」と声をかけるというペニー氏は、ありとあらゆる動作を明確化する指標にこだわる理由を明かしている。

「数字と結果が必ずしも一致するとは限らない。でも、多くの場合、一致しているんだ。私は、今の球界は選手の直感も活かせる余地があると思っている。ただ、ほとんどの場合、高いスピン率や垂直進入角、水平進入角などのデータをみると、分析と結果が一致していることが分かるんだ。これを否定はできないよ」

 理論派のコーチとして逸材たちを指導するペニー氏は、“オールドスクールな考え”を持つ選手たちへの異論も口にしている。

「昔ながらのメンタリティーを持つ選手の多くは、分析に完全に反対している。全員とは言わないけど、そう思っている選手は少なくない。データ解析や指標に反対する人たちも、もっと深く考え直せば、今の野球に分析が本当に役立つ場所があることに気づくはずだ」

 データを軸とした指導に磨きをかける日々。「今、私が教えている子どもたちが立派に大きくなるまではコーチを続けたいと思っている。私は子どもたちと仕事をするのが大好きなんだ。とにかく野球に恩返しがしたい」と漏らすペニー氏には、「最悪」と言われた助っ人の面影はない。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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