メッシの電撃的なマイアミ移籍はなぜ成立したのか?バルサ復帰を断念した天才がサウジの年俸900億円より望んだもの
2023年6月8日(木)15時0分 ココカラネクスト

マイアミ入りを決断したメッシ。彼はなぜアメリカ行きを決めたのか(C)Getty Images
エポックメーキングな移籍だ。現地6月7日、今季限りでパリ・サンジェルマンを退団したアルゼンチン代表FWのリオネル・メッシが、MLSのインテル・マイアミ入りを公表したのである。
今月3日のパリSG退団発表後から様々な噂が飛び交った。古巣のスペイン1部バルセロナ復帰やサウジアラビアの強豪アル・ヒラルからの年俸6億ユーロ(約900億円)のメガオファーなど、サッカー史に残るクラックの去就は注目の的だった。
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そうしたなかで、メッシ本人は家族のための「落ち着いた環境」を求めた。
スペイン紙『Mundo Deportivo』と『SPORT』のインタビューで自身の心境を語った35歳は、「自分が復帰することで選手の売却や減俸が必要になると聞いた。自分のせいでそんなことが起きるとは考えたくなかった。(復帰を)望んではいたけど、実現は不可能だった」と古巣復帰への想いを漏らしつつ、「インテル・マイアミに行くよ。まだ100%手続きが終わったわけではないけど、そこでプレーする道を選んだ」と吐露。そして、決断の理由も口にした。
「今はスポットライトから少し離れ、家族のことをもっと考えたい時期でもあるんだ。さっきも言ったように、家族にとって良くない2年間を過ごした。ワールドカップで優勝して華やかだったが、それを除けば苦しい時期だった。自分の楽しみを再発見し、家族、子どもとその日を楽しみたい」
「家族のことも考えて決断した。今とは異なるサッカーで楽しむ時が来たんだ。責任感や勝利への欲求、ベストプレーをしたいという気持ちは変わらないけど、落ち着いた環境でプレーできる」
オファー額はアル・ヒラルのそれには及ばない。それは本人も「お金の問題だけならサウジアラビアに行っていた」と認めるところだ。では、いかにしてインテル・マイアミはメッシの気持ちを惹きつけ、契約を勝ち取ったのか。
米スポーツメディア『The Athletic』によると、インテル・マイアミは、国内最大級にして、国際的でもあるテクノロジー企業『Apple』とメッシのスポンサーでもある『Adidas』の協力のもと、歴史的な契約に至ったという。
両社ともにMLSへの業務関与によって得られる利益の半分をメッシに差し出す形となったようだ。金額こそ不明ながら、自社の動画配信サービス「Apple TV+」でメッシのドキュメンタリー作成を決めているという『Apple』はMLSの放映で得る収益から移籍金の一部を配分。かたや『Adidas』も本人との長期的な関係を強化するために利益を分配する。
無論、ヨーロッパの他クラブからのオファーもあった。それでも「ヨーロッパではバルセロナのことしか考えていなかった」というメッシ。古巣復帰が破談に終わったなかで、家族との平穏な生活を望んでいた彼のもとに、自身が物件を所有し、スペイン語にも不自由しない土地でもあるマイアミから“最適解”とも言うべき契約を提示してきたのである。サインをしない手はなかった。
早ければ、7月21日に行なわれるリーグカップのクルス・アスル戦で新天地デビューする可能性があるメッシ。そのパフォーマンスには世界中から熱視線が注がれそうだ。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]