指揮官交代も100敗ペースから上向かず 西武に必要な再建への「長期ビジョン」
2024年6月21日(金)16時30分 ココカラネクスト

低迷するチームをどう再建していくのか。西武首脳陣のかじ取りに注目が集まる(C)産経新聞社
異例の交代劇も、チームを上向かせる特効薬にはなりませんでした。
現在、63試合を終えて19勝44敗の借金25、勝率.302と苦境にあえぐ西武です。交流戦前の5月26日には松井稼頭央監督の休養と、渡辺久信GMが翌日付で監督代行に就くことが電撃発表されましたが、直後の交流戦でも4勝14敗と最下位に沈み、浮上のきっかけをつかめずにいます。
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スポーツ紙のプロ野球担当記者は言います。
「打線があまりに迫力を欠いています。交流戦のチーム打率は.171。交流戦のチーム防御率は3.23と投手陣は頑張っていただけに、攻撃陣があまりに力不足です。交流戦も開幕カードの中日戦(バンテリンドーム)では2勝1敗と勝ち越し、『これはイケるかも』と思ったのもつかの間、6月2日の本拠地巨人戦からは8連敗。ウィットに富んだ西武ファンからは『交流戦が全部中日戦だったら、12勝6敗だったのに!』との嘆き節も聞こえてきます」
他球団を見渡してみれば、交流戦前、貧打に苦しんでいた巨人は新外国人選手のヘルナンデスが加入したところ、打線が上向きになりました。西武も途中加入の助っ人が起爆剤になればいいのですが……。
「西武も獲得調査は進めていると思いますが、予算も限られており、強力な選手が加入するかは未知数。実際問題、現在のところは年間100敗ペースですから、ここまで来たら今季の最下位はやむを得ないと思います。むしろ、必要なのは再建に向けての『長期ビジョン』ではないでしょうか」(前述の記者)
そして、こう続けるのです。
「交流戦の打順を見たら、『3番・栗山巧、4番・中村剛也』という並びでした。ともに不惑を迎えたバットマンである二人が、中軸を務める光景は十数年前から変わっていないわけです。その間、主力打者を務めた浅村栄斗は楽天へ、秋山翔吾はメジャー経由で広島へ、森友哉はオリックスへ、山川穂高はソフトバンクへ『流出』してしまった。FAは選手の権利であり、行使は非難されるものではない。それにしても彼らがみんな残留してくれていたなら、どんな魅力的な打線が組めていたかという話です。返す返すももったいない」
ならば、どうすればいいのでしょうか。
「予算的な問題からFAでの選手獲得を期待できない分、西武はドラフトでの逸材獲得と育成へ、他球団よりも熱心に取り組まなくてはいけません。こじんまりした選手を指名と『置きに行く』のでなく、打者なら遠くへ飛ばす、投手なら速い球を放れるといった、スケールの大きな選手に特化して獲得、鍛え上げていくというのも一つの手です」
しかし、過去にもそういった選手をスカウトが獲得しながらも、FA権取得とともに他球団へと移籍してしまうのが、西武という球団の常。それでも、やはりライオンズは強くあらねばいけません。
どれだけ弱くても、ベルーナドームのレフトスタンドをライオンズブルーに染め上げるファンの方々へ、夢のあるビジョンを示すことが、リーダーには求められるでしょう。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]