仙台育英vs慶應の甲子園決勝は偶然ではなく運命、高校野球の開拓者である両指揮官の激突

2023年8月23日(水)10時40分 ココカラネクスト

注目を集める甲子園決勝。仙台育英と慶應はどんな戦いを見せてくれるのか(C)ACPHOTO

 激突すべき運命の相手との決戦。

 慶應・森林貴彦監督、仙台育英・須江航監督の両指揮官は同じ想いを抱き、23日14時プレーボールの決勝の舞台に向かう。

【画像】田中氏は慶應野球部でコーチングを行ったこともあったという

 高校野球界の開拓者として注目される二人。森林監督が50歳、須江監督は今年40歳になったばかりという若き名将だ。

 共通点は「高校野球に理念を注ぎ込み、高校野球を変える」という思いがある。

 須江監督は「大切なのは“テーマを持つ”ということ」「組織は理念が無ければ行動がぶれる」「学ぶこととは目の前に起きることを一生懸命やること」という言葉を何度も口にし、部の不祥事を乗り越え、部を立て直し、そしてコロナ禍に耐え、昨夏に頂点に立った。「青春は密」という名言も記憶に新しいところだ。

 一方の森林監督は慶應義塾創設者・福沢諭吉が掲げてきた「異端と先導」という言葉を重んじ、高校球界にイノベーションを起こそうと高校野球界の課題点を積極的に発信する勇者である。選手たちに考えさせる環境を作る「シンキングベースボール」、選手たちが如何に行動、言動をとれば野球を楽しむことができるか。頑なといっていいほど、その環境を作り続けた。その「エンジョイベースボール」が見事、功を奏し、実に1世紀ぶりに決勝の舞台にコマを進めた。

 深紅の大優勝旗はどちらの監督のもとへ渡るか。

 2年連続の白河の関を超え、連覇となるか仙台育成。はたまた107年ぶりの全国制覇となるか慶應義塾。

 運命的という点では両校のつながりは深い。仙台育英は慶應義塾カラーのユニフォームをモチーフに部を発足した。いわゆるKEIO型のユニフォーム。仙台育英の新球場創設時に、こけら落としに一番に招いたのも慶應だった。

 須江監督、森林監督は「決勝で当たれば最高ですね」と会うたびに話してきた。

「最高の舞台で最高の相手と。107年ぶりの優勝へ向けて最高のシナリオが出来ました」と私のもとにも連絡をくれた慶應・森林監督。

 思考力を高め、考え抜き、自らのパフォーマンスを最大限に引き出すために森林監督に呼んで頂き、慶應高校野球部で「言葉の大切さ、コミュニケーション能力の向上、インタビューの重要性」のコーチングを行ったこともあった。準決勝登板後の小宅投手の冷静な語り口、自らを分析し、快活に答えるインタビューはお見事だった。

 創設99年目の大甲子園。100周年を迎える前に起きる奇跡は一体どんなものか。

 高校野球新時代。

 高校野球を未来へと導く、二人の指揮官、二人の教育者の采配、そして紡ぎだす言葉に注目が集まる。

[文:田中大貴]

田中 大貴 (たなか・だいき)

1980年4月28日、兵庫県小野市生まれ。小野高では2年から4番で打線の主軸を担った。巨人で活躍した高橋由伸氏にあこがれてか慶應義塾大学へ。4年春に3本塁打でタイトルを獲得。フジテレビ入社後は主に報道・情報番組とスポーツを担当。「とくダネ!」「すぽると!」ではバンクーバー五輪、第2回WBC、北京五輪野球アジア予選、リオ五輪キャスターなど様々なスポーツイベントを現地からリポートした。

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