スーパーGT:波乱の鈴鹿をLEON CVSTOS AMGが制す。トップ快走のVivaCは横転リタイア

2017年8月27日(日)20時36分 AUTOSPORT web

 スーパーGT第6戦『第46回インターナショナル鈴鹿1000km “SUZUKA 1000km THE FINAL”』の決勝レースが8月26日、鈴鹿サーキットで行われ、GT300クラスは黒澤治樹/蒲生尚弥組のLEON CVSTOS AMGが優勝した。


 最後の鈴鹿1000kmとなる今大会。ラストレースにふさわしく、決勝日は朝から青空が広がりコースコンディションはドライ。詰めかけた多くの観客の前で、長い戦いの火ぶたが切って落とされた。


 1コーナーを1番手で通過したのはポールポジションスタートのVivaC。これにUPGARAGE BANDOH 86、マッハ車検 MC86 GTNETが続く。


 GT300クラスは序盤からチームによって多彩なピット戦略が展開されることになった。スタート直後にピットインしたのは9番手スタートのLEON AMGだ。さらに、8周目でピットインしたのは4番手スタートのマッハ車検。タイヤ交換なしでレースに復帰するなど、義務付けられた5回のピット作業をそれぞれの戦略により消化していく。


 逆に第1スティントを長めにとり、ピットインのタイミングを遅らせたのはトップを走るVivaC。前日の予選でコースレコードを更新するタイムを叩き出した山下健太は第1スティントを担当。周囲が20数周でのピットインし出すなか、31周でようやくピットインとなった。


 ほぼすべてのチームが1回目のピットストップを終えたころ、41周目に最終シケインでARTA BMW M6 GT3がB-MAX NDDP GT-Rと接触。ドライブしていた高木真一によれば、ピットへ向かう意思表示をした上で減速したところ、B-MAX NDDPに追突されてしまったという。


 このアクシデントにより、ARTA BMWはピットレーン入り口のガードレールにヒット。そのままガードレールに正対するような形でコース上に止まったため、セーフティカーが導入された。約17分間にわたりセーフティカーランが行われ、VivaCら上位陣が築いていたマージンがリセットされることになった。


 レースがリスタートされ、2回目のピットインのタイミング。VivaCが56周で2回目のピット作業を行ったほか、UPGARAGEは71周で行った3回目のピットインでタイヤ無交換作戦を敢行している。


 94周目、130Rで31号車TOYOTA PRIUS apr GTがクラッシュ。130Rのスポンジバリアに突っ込む形で停止してしまう。これにより、レース2回目のセーフティカー導入となった。


 すると、このときトップを走っていたUPGARAGE 86はセーフティカーが入ったタイミングでピットインすると、そのままガレージへ。坂東正敬監督によれば、セーフティカーが導入されたタイミングで、タイロッドのボルトが抜けてしまったという。


 タイロッドはステアリングに関わる部品。このボルトが抜けてしまい、ステアリングがきかない状態になり、緊急ピットを余儀なくされたのだ。


 約23分にわたり続いたセーフティカーランの間にUPGARAGEのマシン修復は完了し、リスタートの際にレースに復帰。しかしセーフティカー中にピットインを行ったことによりペナルティを受けることになり、トップ争いから脱落することとなった。


 さらに、3番手を走っていたD’station Porscheは、セーフティカーが入ったあたりで4回目のルーティンピットを予定していたため、残りのガソリン量が心配されたが無事セーフティカー解除と同時にピットインを行っている。


 2回目のセーフティカーランの最中に、レースは周回数を100周を突破。GT500クラスの103周目(GT300クラスは95周目)からレースがリスタートすると、緊急ピットインをしたUPGARAGE 86に代わってトップに立ったLEON AMGがペースを上げる。


 LEON AMGの蒲生は、2番手以下が2分3秒〜4秒台で周回するなか、2分1秒台=2秒台のタイムで周回。2番手のVivaC 86を引き離す。


 迎えた4回目のピットイン。先にピットに入ったのはLEON AMG。その後105周で入ったVivaC 86はタイヤ無交換作戦を敢行する。約34秒の作業時間でコースインすると、このピット戦略が功を奏し、LEON AMGの前でレースに復帰することに成功。実質のトップに浮上する。


 GT300クラス周回数116時点での順位はトップがVivaC 86。これにD’station Porsche、LEON AMGが続く展開。義務付けられているピットインは残り1回。


 トップのVivaC 86をドライブする山下は、82周目から履き続けているタイヤでコンスタントに周回を重ねた。2分2秒〜3秒台と充分な速さでトップをキープ。5回目のピット作業を終え、事実上のトップに立った。


 しかし、このトップは争い終盤になってスプリントレースさながらの戦いに発展する。


 4回目のタイヤ無交換作戦で、トップに立ったのはVivaC。スタート直後の1周でピットインするという変則のピット作戦を見せたLEON AMGだったが、タイヤを交換せずピットストップの時間を短縮したVivaC 86に順位を奪われる。


 しかしこのトップ争いには、最終盤にさらなるドラマが待っていた。


 5回目のピット作業を終えた両チーム。VivaC 86は松井、LEON AMGは蒲生がステアリングを握る。5回目のピットストップではタイヤ交換を行ったVivaC 86だったが、ペースが上がらない。2分3秒台半ばから後半での走行。


 VivaC 86に対し1秒以上速い2分2秒台のタイムでラップを刻み続ける蒲生は、必死に逃げるVivaC 86を猛追する。


 そして、GT300の周回数150周目、蒲生はメインストレートの立ち上がりで松井操るVivaC 86の背後にぴたりとつけると、1コーナーへのブレーキングでVivaC 86をパス。トップに浮上した。


 その後、蒲生はペースを上げて、松井に食らいつく隙をあたえずにあっという間に引き離しにかかる。


 2番手に落ちたVivaC 86だったが、3番手のマネパ ランボルギーニGT3との差は約30秒。トップLEON AMG、2番手VivaC 86は確実かと思われたが、最後の鈴鹿1000kmはこのまま終わらなかった。


 GT300周回数154周目、「逆バンクで1台のマシンが横転している」のアナウンスが場内に響き渡る。スクリーンに映し出されたそのマシンは、なんと2番手を走っていたはずのVivaC 86。マシンは完全に腹を見せる形で逆バンクのクラッシュバリアに突っ込んでいた。


 ドライバー松井は無事だったものの、コースへの復帰は不可能な状況。予選に引き続き、決勝レースでも驚きの戦略を見せたVivaC 86の鈴鹿1000kmはここで締めくくられることになった。


 そして、レースは最大延長時刻である18時28分が迫ったことから、171周(GT300クラスは158周)で終了宣言が出される。


 LEON AMGはそのまま快走を見せ、見事、GT300クラスのトップでチェッカー。クラス予選9番手から見事なピット戦略と速さで、最後の鈴鹿1000kmを制した。


 2位に続いたのはマネパ ランボルギーニ、3位にはショップチャンネル ランボルギーニGT3とJLOCが2位、3位に続く結果に。この2台は中盤から最後までバトルを繰り広げ続け、チェッカーを受けた時点でもその差は僅差だった。


 ポイントリーダーとして臨んだグッドスマイル 初音ミク AMGは中団を走行中の終盤に、右リヤタイヤがパンク。19位でチェッカーとなった。


 これでポイントランキングの順位も変動。手元の集計ではウイナーであるLEON AMGがランキングトップにおどり出ている。次戦は10月7〜8日開催のタイ。スーパーGTも残り2戦。チャンピオン争いにも注目したい。


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