マルセイユ指揮官が退任…応援団体による脅迫が引き金となる“未聞”の事態「スポーツ面以外の理由で退く」

2023年9月21日(木)12時52分 サッカーキング

マルセイユは20日、マルセリーノ監督の退任を発表 [写真]=Getty Images

写真を拡大

 マルセイユは20日、マルセリーノ・ガルシア・トラル監督の退任を発表した。

 1965年8月14日生まれのマルセリーノ監督は現在58歳。ラシン・サンタンデールやバレンシア、アスレティック・ビルバオなどで功績を残した『4−4−2』の申し子は、今夏に“盟友”パブロ・ロンゴリア氏が会長職に就いているマルセイユの新監督に就任。チャンピオンズリーグ本戦出場は逃したものの、リーグ・アン開幕5試合で2勝3分の4位というまずまずの滑り出しを見せていた。

 しかし18日、マルセイユのクラブ上層部とマルセイユのウルトラス(応援団体)による緊急ミーティングで前代未聞の事態が起こる。今夏にMFディミトリ・パイエやMFマテオ・ゲンドゥージら主力選手を放出したこと、そしてチームスタイルや勝ち切れない試合が続いていることに対して、ウルトラスの不満が爆発。ロンゴリア会長を含むクラブ上層部に辞任を要求し、それが為されない場合には「戦争だ」といった脅迫行為に及んでいた。

 マルセリーノ監督は緊急ミーティングに出席しなかったものの、ウルトラスの矛先は同指揮官にも向いていた。報道によると、この事案を受けたマルセリーノ監督は、マルセイユでの生活における身の危険を案じて辞任を決断したとのこと。そして20日、マルセイユは「スポーツ面以外の理由で退任する」と声明を掲載するとともに、マルセリーノ監督の退任を発表した。

「マルセイユは、9月18日の出来事及びマルセイユの経営陣に対する脅迫は、マルセリーノと彼のテクニカルスタッフが雇用された職務を良好な状態で遂行することを妨げるものであると考えています。この恥ずべき事態の結果、マルセリーノと彼のスタッフはマルセイユでの仕事を続けることができません」

「クラブは、6月23日にマルセイユに到着したばかりで、クラブに全力を尽くしてきた監督とテクニカルスタッフが、スポーツ面以外の理由で退任することになったことを痛く残念に思っています」

 またマルセリーノ監督も、自身の公式SNSにて声明を掲載。外的要因により、初の国外挑戦はわずか7試合で幕引きとなってしまった同指揮官は「我々がマルセイユで継続することは不可能」とし、以下のように続けている。

「我々は、この偉大なクラブをヨーロッパにおける本来の立ち位置に戻すという幻想を抱いてマルセイユに到着しました。未来を見据えた野心的なスポーツプロジェクトを構築する機会を与えてくれた会長とその取締役会に特別な感謝を捧げます」

「クラブは目標達成に向けて正しい道を歩んでいましたし、プロとしての経験からチームの進歩はわかっていました。また、改善も継続的なものです。その証拠に、マルセイユは5試合無敗でリーグ戦4位(3位とは同勝ち点)。最少失点数を記録する2クラブの1つであり、国内リーグ無敗を誇る3クラブの1つでもあります。リーグ戦がまだ5試合しか行われていない段階で、会長を含むクラブ上層部が受けた脅迫や個人攻撃は、我々の職業をフットボールクラブで安全かつ正常に遂行させるのに適切な労働環境ではないことを示し、不透明な日々を予感させるものです」

 なお、混沌のマルセイユは21日にヨーロッパリーグ・グループB開幕節アヤックス戦を控えており、同試合ではジャック・アバルドナド氏が暫定的に指揮するようだ。

サッカーキング

「マルセイユ」をもっと詳しく

「マルセイユ」のニュース

「マルセイユ」のニュース

トピックス

x
BIGLOBE
トップへ