黒人体操選手への露骨な”無視”に米女王バイルズも憤怒! 被害家族は「体操協会は理解していない」と悲痛な訴え

2023年9月28日(木)16時30分 ココカラネクスト

アイルランドで起きた人種差別騒動に持論を述べたバイルズ。(C)Getty Images

 驚きの光景に波紋が広がっている。

 物議を醸しているのは、昨年3月にアイルランドの首都ダブリンで開催された新体操のイベントで撮影されたワンシーンだ。職員が横一列に並ぶ女子選手たちの首にメダルをかける様子が映っているのだが、一人の黒人の選手だけが飛ばされ、次の白人の選手たちからメダルがかけられたのだ。

【動画】世界が騒然…米女王バイルズが激怒したアイルランドでの人種差別の瞬間

 メダルを渡されなかった選手は「え、なんで?」と戸惑った様子。無論、異変に気づいた周囲の白人選手たちも動揺するような素振りを見せた。

 この悲痛なシーンに体操界の女王も黙っていなかった。リオ五輪の体操競技で女子団体・個人総合などで金メダル4つを獲得したアメリカのシモーネ・バイルズは今月23日に自身のX(旧ツイッター)に「胸が痛む」とし、同じ黒人女性としての悲痛な思いを記した。

 さらに「このビデオが出回ったとき、彼女の両親が連絡をくれました。それを見て心が痛んだので、彼女に小さなビデオメッセージを送りました。何があっても人種差別が入り込む余地なんてない!」と強いメッセージを書き込んだバイルズの投稿を受け、反響は拡大した。

 アイルランドの日刊紙『The Irish Independent』は「家族は娘が黒人であるために式典で無視されたと考えている」と報道。そのうえで「私たちは体操競技の大会で唯一の黒人家族であることが多く、今回のことで私たちは非常に傷ついた」という少女の母親の怒りの証言を伝えている。

「拡散された動画は、800万人以上もの人たちが見ている。そして、いかに間違った行いかは、世界中の人たちが理解してくれたと思います。でも、アイルランド体操協会は依然としてそれを完全に理解し、問題として受け入れられていない」

 SNS上でも「酷い黒人差別だ」「これがわざとじゃないと言えるのか」といった批判の声が殺到した。深刻な事態となってアイルランド体操協会は、25日に公式サイト上で「あの日に起こったことはあってはならないことであり、深く遺憾に思う」と謝罪声明を発表した。

 同協会は「この非常に困難でデリケートな問題を解決するために、誠意をもって対応を続けてきました。事件後、私たちは個人的に謝罪を申し入れました。それが最善の方法だと考えたからです」と説明。さらに「私たちはこれまで以上に問題解決のために取り組んでいく必要があり、このようなことが二度と起こらぬように約束します」と訴えた。

 なお、全面的な謝罪をしたアイルランド体操協会は、22日の声明で家族側に謝罪を断られた当該職員が謝罪文を提出したと説明し、その後に問題は非営利組織「Sports Disputes Solutions Ireland」が仲介役となった調停によって、今年8月に両者は和解したと主張していた。

 いまだ人種差別の問題が根強く残るスポーツ界。こうした問題が消える日を願うばかりだ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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