敵地で降り注いだ拍手に反響 池江璃花子の生んだ“異例の光景”に中国メディアも感嘆「人々は礼儀を知った」【アジア大会】

2023年9月30日(土)10時30分 ココカラネクスト

アジア大会への参戦が大きな注目を集めている池江。その光景に賛辞が相次いだ。(C)Getty Images

 想像を絶する苦しい日々を乗り越えてきた日本の天才スイマーへの賛辞が続いている。

 現地9月27日、競泳の池江璃花子は、中国・杭州で行われたアジア大会の女子100メートルバタフライ決勝に出場。優勝を地元のエースである張雨霏(中国)に譲り、惜しくも5位となった。

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 もっとも、会場からは池江に温かい拍手が送られた。それはともすれば、55秒86の大会新記録で優勝した張雨霏に対するものよりも大きかったかもしれない。

 周知の通り、池江は2019年1月に判明した白血病を乗り越え、ふたたび国際舞台に復活。22年には東京五輪にも出場した。そんな23歳の天才が称賛されたのは、日本人のライバルという以前にリスペクトがあったからだった。

 中国メディアも池江の復活劇を大きく取り上げている。スポーツ専門メディア『捜狐』は「拍手は勝者だけのものではない」と銘打った記事を掲載。28日に行われた50メートル自由形の予選で敗退した直後にも拍手が送られた池江について、「彼女がなぜ称賛されるのか? それは出場するだけで奇跡であるからだ」と強調した。

 池江の病魔との闘いについても綴った同メディアは「いまや当たり前のようにオリンピックと世界選手権にも出場する池江の歩んだ道のりは簡単なものじゃない。彼女の見せた粘り強い精神力はもっと多くの人に認められるべきだ」と指摘。そして、ことスポーツにおいては何かと衝突しがちな日中関係をふまえ、次のように論じた。

「金メダルを取れるかどうかに一喜一憂し、勝者だけに拍手を送る時代はもう終わりだ。つい40年前は決勝にすら進めなかった日本人選手が中国の観衆から惜しみない拍手を浴びることはまずなかった。当時のスポーツファンは親善試合の敗戦すら許そうとはしなかった」

 さらに同メディアは異例とも言うべき敗者への拍手を送った会場の雰囲気を「中国人があらゆる敗北を恥だとみなすことはなくなった。人々は礼儀を知ったのだ。池江が受けた拍手がその証拠だ」と指摘。そして女子100メートルバタフライ決勝を制した張雨霏が池江に寄せたコメントを紹介している。

「池江は前回(ジャカルタ)のアジア大会では誰もが認める『天才少女』でした。今では、彼女がプールに姿を見せること、それが奇跡だと思います。私たちの誰にとっても、それは励ましなんです。自分の心の中に、自分の目標をもっと成し遂げようという力が生まれてくるんです」

 一人の人間として称賛を集めた池江。現地9月29日に行われた女子50メートルバタフライでは銅メダルを掴んだ彼女の努力はライバル関係を超越し、世界で反響を呼んでいる。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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