トヨタ・ヤリスWRCが最後のラリーへ「世界タイトル3冠は我々にとって夢」とラトバラ/WRC第12戦

2021年11月15日(月)16時51分 AUTOSPORT web

 2021年シーズンのWRC世界ラリー選手権最終戦モンツァが11月19〜21日、イタリア北部のモンツァ・サーキットを中心に開催される。シリーズ最高峰クラスに参戦しているTOYOTA GAZOO Racing WRTはこの第12戦に3台のトヨタ・ヤリスWRCを投入。ドライバー選手権でランキング首位につけるセバスチャン・オジエ/ジュリアン・イングラシア組と、彼らを17ポイント差で追いかける同ランキング2位のエルフィン・エバンス/スコット・マーティン組、今季2勝をマークしランキング4位につけているカッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組がこれらをドライブし、ドライバー選手権とコドライバー選手権、そしてマニュファクチャラー選手権の3冠達成を目指す。


 ヤリ-マティ・ラトバラ代表が率いるチームは、今シーズンすでに8勝をマークし、トヨタがWRCに復帰した2017年以来、もっとも成功したシーズンを送っている。そんな2021年は現行WRカー規定のラストイヤーにあたり、過去5年にわたって活躍してきたヤリスWRCにとって、この『ラリー・モンツァ』はワークスカーとして戦う最後のラリーとなる。


 また既報のとおり、チームのエースであるオジエは今イベントがフル参戦ドライバーとしては最後のラリーとなり、彼とともに数々の成功を収めてきたイングラシアはこの1戦を最後にコドライバーを引退する予定だ。


 このペアは昨年、WRC初開催となったモンツァにおいて優勝を飾り、エバンス/マーティン組がリードしていたドライバー/コドライバー選手権のタイトルを逆転で掴み取った。今シーズンは反対の構図となり、オジエ/イングラシア組が17ポイント差でチームメイトをリードして最終戦を迎える。


 そんなラリー・モンツァは、F1イタリアGPの開催地として知られる伝統の“クラシック・サーキット”を中心に展開され、サービスパークはサーキットのピットに設けられる。また、全16のステージのうち半数にあたる8つがサーキットの新旧レーシングコースと、その周辺に張り巡らされたサービスロード(施設道路)が合わさったステージとなっている。なお、サービスロードは一部未舗装の区間もあり、2020年大会のように大雨が降ると路面が泥で覆われ非常に滑りやすくなる。


 一方、今大会ではサーキットの北東に位置する古都ベルガモ周辺の山岳ステージの本数が増えたこともトピックスのひとつとなっており、ラリーをよりドラマチックに演出する可能性も考えられる。

ラリー・モンツァでは新旧のトラックがステージに組み込まれている


■オジエ「いつもどおりベストを尽くし、両タイトルの獲得に集中する」


 その山岳ステージでは、19日(金)と翌20日(土)の午前中に競技が行なわれる予定だ。両日の午後と最終日の21日(日)はサーキット内のステージでスピードテストが実施され、最終SS16はトップ5タイムを記録したドライバーとチームにボーナスポイントが付与される“パワーステージ”となっている。16本のSS合計距離は253.18km。リエゾン(移動区間)も含めたイベントの総走行距離は677.62kmだ。


 なお、TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラムに参加している勝田貴元は、今戦もアーロン・ジョンストンとのコンビでトヨタ・ヤリスWRCをドライブしWRC今季最終戦に挑む。


「今回のラリーが僕たち、とくにジュリアン(・イングラシア)にとって、このスポーツにおけるひと区切りになることは事実だ」と語るのは、自身8回目のチャンピオン獲得を狙うオジエ。


 しかし彼は、現時点ではそのことについてあまり深く考えていないと述べ、「それが最善のアプローチだと思っている。だから、いつもどおりベストを尽くし、両タイトルの獲得に集中するだけだ」と続けた。


 対するエバンスは、「ドライバーズタイトル獲得の可能性を残したまま最終戦を迎えることができて良かった。可能性はゼロではないので、スコット(・マーティン)とともにベストを尽くして戦う」と静かに闘志を燃やす。


 チーム代表を務めるラトバラは、「3つの世界選手権タイトルをすべて獲得することは、我々にとって夢だったので、それを達成できるチャンスがあるモンツァに臨むことに興奮している」と語った。


「もしこの夢が叶ったとしたら、WRカー時代の終わりと、2017年のデビューイヤーに私自身もドライバーのひとりとしてドライブした、ヤリスWRC最後のラリーを最高のかたちで締めくくることができる」


「すべてが計画どおりに進み、マニュファクチャラーズタイトルを獲得できることを願っているが、モータースポーツではフィニッシュするまでは何も決まらないことは理解している。また、ドライバーズタイトルに関しては、セバスチャン(・オジエ)とエルフィン(・エバンス)のフェアな戦いを期待している」


「昨年のラリー・モンツァは、雪と雨に見舞われ非常に難しいイベントになったが、先週イタリアで行なった事前テストも、かなり多くの雨が降りトリッキーなコンディションだった。だから、今回もまたチャレンジングなフィナーレになると予想しているんだ」

ヤリ-マティ・ラトバラTOYOTA GAZOO Racing WRT代表
WRC初開催となった2020年のラリー・モンツァは大雨と降雪に見舞われた

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