オールマイティーなオランダ代表が躍動。期待できる8年前の再現【W杯試合分析】

2022年11月23日(水)12時0分 FOOTBALL TRIBE

ルイ・ファン・ハール監督(左)フレンキー・デ・ヨング(右)写真:Getty Images

FIFAワールドカップ・カタール2022のグループステージ第1節が11月22日(日本時間)に行われ、グループAのセネガル代表とオランダ代表が対戦した。


後半39分に、フレンキー・デ・ヨングの左サイドからのクロスにコーディ・ガクポがヘディングで合わせ、オランダ代表が先制。アディショナルタイムには途中出場のメンフィス・デパイのシュートのこぼれ球をデイヴィ・クラーセンが押し込み、だめ押しゴールを挙げた。最終スコア2-0で、オランダ代表がグループステージ初戦を物にしている。


前線からの組織的な守備が特長のセネガル代表に、オランダ代表がどのように対抗したのか。今回はこの点を中心に解説する。


セネガル代表vsオランダ代表、スターティングメンバー

セネガル代表のプランを打ち砕く 


この日のオランダ代表の基本布陣は[3-4-1-2]。キックオフ直後からマタイス・デ・リフト、フィルジル・ファン・ダイク、ナタン・アケの3バックを中心にパスを回し、攻め手を探っていた。


セネガル代表が1トップのブライユ・ディア、イスマイラ・サールとクレパン・ディアタの両サイドハーフを中心にハイプレスやミドルプレスを試みた際は、最終ラインや左ウイングバックのダレイ・ブリントからのロングボールで局面打開。前半10分に、ブリントが最前線のフィンチェント・ヤンセンに惜しい長距離パスを送ったほか、同19分にもブリントのクリアボールからロングカウンターが始まり、敵陣ペナルティエリアへ走ったF・デ・ヨングが決定機を迎えている。ロングパスを織り交ぜて、セネガル代表のプレッシングに晒される機会を減らしたことが、今回の無失点勝利に繋がった。


オランダ MFフレンキー・デ・ヨング 写真:Getty Images

ステフェン・ベルフハイスと2ボランチを組んだF・デ・ヨングは、巧みなポジショニングでオランダ代表のパスワークを牽引。セネガル代表の1トップ、ディアの両隣のスペースやファン・ダイクとアケの間に立ち、テンポ良くパスを捌いていた。


基本布陣[4-2-3-1]のセネガル代表はトップ下のイドリッサ・ゲイェ、シェイフ・クヤテとナンパリス・メンディの2ボランチでF・デ・ヨングの捕捉を試みたものの、同選手がディアの両隣や最終ラインに降りた際の守備の段取りがはっきりしない場面がちらほら。クヤテとN・メンディは自身の背後が空くのを気にしたのか、F・デ・ヨングのマークを諦めて中盤のスペースを埋めるシーンも何度か見受けられた。


象徴的だったのが、F・デ・ヨングが自陣後方でボールを受けた前半21分のシーン。ここでもN・メンディとクヤテの中盤からの飛び出しが遅れたことで、オランダ代表の背番号21がフリーに。同選手が敵陣までボールを運び、チャンスを作っている。試合終盤にアシストも記録した背番号21が、オランダ代表を勝利に導いたと言って差し支えないだろう。


オランダ ルイ・ファン・ハール監督 写真:Getty Images

今回もファン・ハールの知略が冴え渡るか


2014年のブラジルW杯でも指揮を執ったルイ・ファン・ハール監督のもとで、今大会に臨んでいるオランダ代表。8年前のグループステージ第1節では5バックとMF陣による堅固な守備と、破壊力抜群のカウンターでスペイン代表を粉砕(最終スコア5-1)。今回のセネガル代表戦でも、ファン・ダイクの的確なラインコントロールにより、[5-3-2]の守備隊形がコンパクトに保たれていた。


カリドゥ・クリバリとパプ・アブ・シセの2センターバック間に降り、パスを受けようとするN・メンディには、[3-4-1-2]のトップ下のガクポが密着マーク。緻密な守備でセネガル代表のビルドアップを封じていた。


アヤックスやバルセロナを率いていた頃のパスサッカーのみならず、堅守速攻プランも自軍に落とし込めるのがファン・ハール監督の強み。今のオランダ代表は、相手チームとの力関係や予想される試合展開に応じ、ボールポゼッションとカウンターのどちらもできるオールマイティーなチームに仕上がっている。71歳の知将が次戦以降も本領を発揮すれば、3位と躍進したブラジルW杯と同等の、もしくはそれ以上のインパクトを今大会で残すかもしれない。

FOOTBALL TRIBE

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