西武・平良、先発転向直訴で保留 「切実に求めたもの」とは

2022年12月3日(土)11時26分 ココカラネクスト

(C)Getty Images

 西武・平良海馬投手(23)が2日、埼玉県所沢市内の球団事務所で交渉に臨み、契約更改を保留した。

 今季はリーグ最多タイの61試合に登板し、1勝3敗、9セーブ34ホールド、防御率1・56。セットアッパーとして前年最下位からの3位躍進に大きく貢献し、パ・リーグの最優秀中継ぎ賞にも輝いた。球団からの評価も高く、条件提示は7000万円増額の来季年俸1億7000万円。この金額に対しては納得していたというが、平良が訴えたのは来季の起用法だった。

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 「2019年から先発がしたいと言っている。挑戦して可能性を広げていきたい。お金は気にしていない」

 先発転向への気持ちを譲れなかった。平良は高卒プロ入り2年目の2019年に1軍デビューしてから、全203登板が中継ぎ。1軍で先発のチャンスは一度ももらえていなかった。「3年間、先発をやらせてほしいと言ってきた。さすがに4年目はやれない」と語気を強めた。

 球団からは来季は1シーズン中継ぎで投げ、2年後以降の先発転向も提案されたという。それでも信念は曲げなかった。

 「中継ぎで60イニング投げるより、先発で倍のイニングを投げた方がチームへの貢献度は高い」と先発への思いを口にした。

 なぜ、先発にこだわるのか。平良の言葉を借りるまでもなく、中継ぎと先発ではシーズン通して投げるイニング数が大きく異なる。ここ3シーズンはエースリリーバーとして活躍した平良でも、イニング数は昨年の60が最多。一方、先発投手は143イニングという規定投球回が存在し、エース投手ともなれば200イニング投げるシーズンがあってもおかしくはない。この数字の差は、評価として年俸に如実に表れる。

 メジャーリーグでは現在、最も年俸を稼ぐポジションは先発投手だ。複雑な複数年契約を年数で割って平均年俸でみた場合、歴代最高額は現在メッツのマックス・シャーザーの4333万ドル(約60億円)。3000万ドル超えのエース投手が数人いる。一方で中継ぎは、エースクローザーでも2000万ドル(約28億円)には届かないのが現状だ。

 加えて、投球イニング数は少なくても、毎試合ブルペンでの準備などを余儀なくされ、時には連投も強いられる中継ぎ投手は、先発以上に勤続疲労が重いとみられている。1シーズン、中継ぎで鉄壁の投球を誇った救援投手が、翌シーズン以降はさっぱりというシーンは、何度も繰り返されてきた。

 野球選手としてのキャリア、評価を考えた場合に、中継ぎよりも先発の方が有利なのは誰の目にも明白なのだ。

 もっとも、平良は救援で代えが効かない存在感を示してきた。球団としてもおいそれと応じるわけにはいかない難しい状況がある。

 渡辺久信GMは「気持ちは分かる」と理解を示した上で、「彼はスペシャルだから簡単にはいかない。彼なりに自分のキャリアなども考えた上で転向を希望しているけど、チームで戦っている」とこぼした。

 両者は4日にも再交渉するという。ただし、すでに球団側が示した妥協案を平良は拒絶しており、歩み寄りの余地は果たしてあるのか。しこりを残す着地となり、パフォーマンスにまで悪影響が出るような事態だけは避けたい。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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