MotoGP:ホンダ「物事が正しい方向へ進まず非常に困難なシーズンに」/2020年シーズン振り返り(4)

2020年12月29日(火)8時0分 AUTOSPORT web

 MotoGP最終戦ポルトガルGPで行われた各マニュファクチャラー代表者たちによる特別記者会見。ヤマハ、ホンダ、アプリリアの代表者たちが2020年シーズンを振り返った。


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■リン・ジャービス:モンスターエナジー・ヤマハMotoGPチーム代表兼ヤマハ・モーターレーシング ディレクター
「2020年について単一の判断を下すのは難しい。誰にとっても重苦しい年だった。ここにいるすべてのマニュファクチャラー、すべてのライダーとスタッフにとって、新型コロナウイルス感染症対策とともにシーズンを運営するのは大変なことだった」


「困難な状況のなか、全14戦を開催するということは、称賛に値すると思う。1年を通して浮き沈みがあった。我々は1年の始まりの開幕戦でワン・ツー・フィニッシュを達成して好調子でスタートした。だが一方でヘレスでの勝利後すぐに我々にとってのアキレス腱を発見してしまった。ラウンド1から苦しめられてきたバルブの問題のことだ」


「すでにフリー走行1回目でマーベリック(・ビニャーレス)に最初のトラブルが出ていたし、バレンティーノ(・ロッシ)はレースをリタイアし、フランコ(・モルビデリ)はレース2をリタイアした。こうしたトラブルに1年中つきまとわれたため、我々のライダーたちはより優れたパフォーマンスを発揮するチャンスを時に妨げられることがあった」

2020年MotoGP第15戦ポルトガルGP バレンティーノ・ロッシ(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)


「我々はエンジンを修正してデチューンしなければならず、多くのエンジンを投入した。我々は年間を通して事実上8基のエンジンを投入した。そのため、何よりもライダーたちにとって困難な状況になってしまった。そして1年の終わりにとうとう大きな打撃を受けた。バレンシアで決議が下されて我々はペナルティを受けた。それがコンストラクタータイトルとチームチャンピオンシップに影響したのだが、幸いライダーには影響がなかった。それでも対処するのが難しい年だった。新型コロナはまるで何kgもあるリュックサックをずっと担いでいるようなものだ」


「良い面としては、多くの勝利を飾ったことだと言える。我々のバイクは今年明らかに強力なバイクだったし、異なる状況下でも勝つ能力があった。少々珍しいことでもあるが、ペトロナスが6回優勝し、ファクトリーチームはこれまでのところ1回しか優勝できていない。まだ今週末がこれから始まるところだがね!」


「だが間違いなくバイクにはポテンシャルがあったし、競争力があり優勝することができたが、我々は世界選手権タイトルという目標を達成できていない。スズキには敬意を払っている。なぜなら彼らには一貫性があり、シーズンを見事にまとめているからだ。ジョアン・ミルは成熟を見せ、彼らはチャンピオンシップを勝ち取ったのだ。そういうわけで、我々の方はチャンスを逸したと言える」


「我々は常にグリップ、トラクション、ブレーキングに苦戦している。状況によるが……。我々にはふたつの異なる仕様がある。我々のライダーのうち3人が同じ仕様の2020年型ファクトリーバイクに乗っており、モルビデリが2020年Aスペック(2019年マシンベースの進化版)という異なるベースのバイクに乗っている。今年後半に彼は3度優勝を飾った。彼は好調だが、他のライダーたちは苦戦している。バイクは設計のせいで、一貫性のあるパフォーマンスをすべてのレーストラックで発揮できていない。それはバルブの問題に直接関係があるわけではなく、別の基本的な設計上の問題なのだ」

2020年MotoGP第13戦ヨーロッパGP ファビオ・クアルタラロ、フランコ・モルビデリ(ペトロナス・ヤマハSRT)


■アルベルト・プーチ:レプソル・ホンダ チームマネージャー
「正直に言って、過去数年にわたってほぼすべてのレースで優勝してきたチームとしては、今年果たすつもりだった勝利がまったくないということは明らかに良い結果ではない。我々にはシーズン始めのマルク(・マルケス)の問題があり、物事が正しい方向へ進まず、非常に困難なことになった。ある時点で我々は、彼が今年競争力を発揮したりレースをしたりすることができないかもしれないと理解していた」


「一方で我々にはルーキーのアレックス(・マルケス)がいたが、マルクの代役にはテストライダーを招集しなければならなかった。1年の序盤はアレックスにとって本当に厳しいものだった。だが中盤になると突如として彼が大きな一歩を踏み出した。そしてトップライダーたちから3秒遅かったテストライダーも突然、速さを出すようになった。もちろんこれは我々が慣れている状況ではなかったが、物事がそういうことになったら、進むしかないのだ。永久に続くことは何もない。とにかく将来に向けてより理解を深めるために、バイクにできることをしようとした。それが我々がやってきたことだ」


「ホンダとライダーにとって終わりのない話だが、我々には時にバイクを人々が信じないようなポジションに置くスーパーライダーがいることは明らかだ。だが今年アレックスがこのバイクでやったことについては、それほど不満があるわけではない。すべてのマニュファクチャラーがそうであるように我々にも欠点があるが、我々はそれに取り組もうとしている。来年のエンジンは凍結されることになっているが、我々は歓迎する。我々には将来の方向性があると考えているからで、アレックスは来年はさらに経験を積むだろう。マルクは復帰するし、戦う準備ができるだろう。そしてポルがKTMでの長年の経験を携えて加入する。彼は我々が強くなれるように初日から手を貸してくれると確信している」

2020年MotoGP第13戦ヨーロッパGP アレックス・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)


■マッシモ・リボラ:アプリリア・レーシングCEO
「2020年は大きな期待とともに始まった。バイクは2019年とそれ以前から一歩踏み出したものであり、新しいバイクであったので、走行距離が必要だった。新型コロナなどの点で今年は完璧な年ではなかったが、我々は改善を果たし、ライバルに対しては数秒のところまで迫っているから、かなり前進することができた」


「大きく離されている状態から、パフォーマンスを伸ばす最初の時期が楽なのは明らかだが、今ではいっそう難しくなった。今年のレースは楽しい。前回のレースで我々は9位でフィニッシュし、1位とは15秒差だった。昨年は9位でフィニッシュして1位とは33秒差だった。それが今シーズンの平均だ。だから今はレースをさらに楽しめる。ショーは明らかに良いものになっているし、我々はメインのグループに近づいている。それは落胆するようなことではなく、むしろ後押しになっている。なぜなら我々は近づいており、最後の一歩が必要なだけだからだ」


「安定性が重要だ。ブラッドリー(・スミス)は今シーズン良い仕事をしている。彼はテストライダーになるはずだったが、レースをするとアレイシ(・エスパルガロ)にどんどん近づいていった。今後は来年に(ロレンツォ・)サバドーリに優れたテストライダーになるためのチャンスを与える」

2020年のMotoGPに参戦したアプリリア・レーシング・チーム・グレシーニ

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