残虐事件「 埼玉愛犬家連続殺人事件」有名な怖い話の舞台にも

2024年1月12日(金)16時0分 tocana


 1993年の4月から8月にかけて埼玉県熊谷市周辺で発生した「 埼玉愛犬家連続殺人事件」は、 平成最大の猟奇殺人とも呼ばれるほどに当時世間を震撼させた凶悪 事件である。犬猫の繁殖販売業を営んでいた関根元とその妻風間博子とが共謀、従業員1人も共犯となり、取引でトラブルとなった人々を毒殺した上で解体・ 焼却して遺棄するという衝撃的な事件だ。映画『冷たい熱帯魚』( 2010)のもとになった事件としても知られている。
 当時、関根と風間のオーナー夫婦はペットショップ「アフリカケンネル」を経営していたが、バブル崩壊による影響から経営難に陥っていた。関根たちは、法外な値段で犬のつがいを売りつけるといった悪徳商法や、 客が購入した犬を盗みその犬を他の客に売るなど、悪質な手口によって利益を得ており、 それに関連して金銭トラブルが絶えなかった。関根は非常に口が達者であり表面的には気さくな人物であったもの の、虚言癖もあって周辺住民からの評判は悪く、また暴力団とのつながりもあったという。
 最初の犯行は、会社役員男性であった。繁殖のため1100万円で購入した犬がすでに老犬であったことで 返金を要求されたものの、 返す金が無かったためにオーナー夫婦は男性の殺害を思い立った。 犬の殺処分に用いる「硝酸ストリキニーネ」を服用させ毒殺し、男性殺害後に従業員の山崎という人物を呼び出し、 遺体の処理に協力することを強要させた。その後彼らは、 最初の犯行に感づいた顔見知りの暴力団員、 その暴力団員の自動車運転手、そして出資金を搾取しようとしていた主婦、 これら判明しているだけでも4人を同様の方法で殺害するに至った 。
 被害者たちは、死体が発見されていなかったことから、当初失踪や行方不明ということで捉えられていた。しかし、その後の供述によりオーナー夫婦が独自の遺体処分を行なっていた ことが判明した。遺体は従業員山崎の家で解体され、骨や皮そして肉、内臓に分けられ、数センチ四方に細かく切り刻まれた。 骨や遺品はドラム缶に入れられ灰になるまで焼却され、肉片は川などへ流された他、 一部は飼育していた犬などに食べさせていたとも言われている。その様はまさしく、完全犯罪であった。
 しかし、事件は思わぬところから足がつくこととなった。 1994年、 本事件とは無関係であった大阪愛犬家連続殺人事件の被疑者が逮捕 されたが、 埼玉でも愛犬家が次々に失踪しているということが次第に話題とし て取り上げられるようになり、 アフリカケンネルのオーナー夫婦に疑惑の目が向けられた。 その後、 共犯であった先の従業員の証言によって被害者の遺骨や遺留品が発 見されたことで事件が立証され、 1995年にオーナー夫婦は逮捕となった。 のちの裁判により両者は死刑判決を受けたが、 関根は2014年に刑の執行を待たずして獄中で死亡した。
なお、 この事件は怪談和尚としても知られる三木大雲の体験の舞台として も語られるものとして有名になった。 当時大学生で修行僧の身であった三木が熊谷市で修業のため過ごし ていた際、オーナーの関根と顔見知りとなったという。 何度か訪れるそのたびに同じ銘柄の缶コーヒーを数缶の中から選ば されるといったことがあったというのだが、 のちに知人伝いで知らされたところによると提供した1本を除いて 全て毒入りであったことが関根の供述で判明し、 三木が仏教を学ぶ学生であったことを振り返り「 神仏は実際にいるんだと思った」と語ったのだとか。
この話は三木の十八番としてよく知られる話であるが、 本当に実話であったかについては疑問視もされている。 それらの経緯は、 徹底した完全犯罪を目論んでいた関根にとっては、 動機も不確実なものであり、 何よりあまりにもリスクが高いものだという指摘もある。また、 作家山口敏太郎が関係者から見聞したところによれば、 そうした犯人の供述はすべて記録されているはずであるが、 そのような記録は残されていないとのことであるという。
この事件は、他にも被害者がいるのではないかとも言われている。 事件以前にも、 失踪したまま遺体も発見されていない失踪者が少なくとも3名ほど おり、いずれも未解決となっているのである。 オーナー夫婦によるその周到な犯行の手口は、 幾度もの試行錯誤があったものとも考えられ、 より多くの人々を手にかけたのではないかとも言われているが、 いまでは真相も闇の中となっている。


【参考記事・文献】
ペットショップオーナーが起こした「埼玉愛犬家連続殺人事件」 とは?
埼玉愛犬家連続殺人事件の犯人の実名や現在とは? 加害者や被害者の今や真相に迫る!
【埼玉愛犬家連続殺人事件】犯人・ 関根元の狂気的な犯行概要まとめ!
三木大雲和尚の怪談話に「ウソ」はないか?

【本記事は「ミステリーニュースステーション・ATLAS(アトラス)」からの提供です】



 


【文 黒蠍けいすけ】


京浜にけ – 投稿者自身による著作物, CC 表示-継承 3.0,https://commons.wikimedia.org/ w/index.php?curid=101119160による

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